白き永遠

主にエロゲーの感想や考察について書いていきます。楽しいエロゲー作品に、何か恩返しのようなことがしたくてブログを始めました。

アストラエアの白き永遠 一夏ルート考察(17605字)

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これは「アストラエアの白き永遠」の一夏ルートの内容まとめです。

※以下ネタバレなので、プレイ済みを推奨します。

※画像の著作権は全て、有限会社FAVORITE様に帰属します。



























交換をすることが、一緒にいることだと思ってる

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姉との暮らしは、そんなことを気にしてばっかりだったのだ。
ついていくから、かまってほしい。
ご飯を作るから、帰ってきてほしい。
それが報われたことは、皆無に等しいけれど……。
かといって、自分が気にしなくなったら、相手にも本当に気にしてもらえない。

だから、どうしたって『交換』を意識してしまう。
『誰かに助けてほしい』と『助けたい』の裏表。
それを交換することが、一緒にいるってことだと思ってる。

……そうでないなら、自分はなにもわからない。
距離感がわからない。


一夏(一夏√)


一夏が人との関係で抱えていたものは、『交換の意識』です。

一夏が帰ってこない姉のために家事をするのも、陸と一緒にいるためにルーンの練習を頑張っていたのも、一夏にとって人との関係は、「交換」でしか取り持つことしかできないと思っていたからでした。

一夏は交換でしか一緒にいるための方法がわからず、交換をしない関係で一緒にいるのは距離感がわかりませんでした。
一緒にいてもらうための条件として、何かを与えることで理由を作らなければならないーーもの同士の交換のようにトレードでしか人との関係を築くことができなかったのです。

しかし交換でしか成立しない関係を、一夏は同時に寂しくて嫌だとも思っていました。そんな一夏は、どのようにしてこの交換の意識と向き合っていたのでしょうか。









走ることと、草舟の意味

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夕凪一夏は、今日も自主練に励んでいる。
一夏は身体を動かすことが好きだ。頭を動かすよりもずっと好きだ。

無心になれるから。
そうすることで、悩みから解放されるから。
寂しさから逃れることができるから......。

だからこそ、その反動はやって来る。
休憩中に、こうして草舟を流しているときは、考え事をしてしまう。


一夏(共通)


一夏は体を動かすことが好きです。その理由はテスト期間に勉強のことを考えたくないからと言っていましたが、本当はそうではなく、無心になって悩みから逃げるために走っていました。
しかし走るのを立ち止まって草舟を流してしまうように、悩みから逃げようとしても寂しいだけだから、こうして考えずにはいられませんでした。

走りさえすれば悩みを忘れられるという、このことも交換のように成り立っていると思っていました。一夏の悩みもまた、人との関係と同じで交換のように忘れられると思っていました。

しかしその反動で草舟を流してしまうのは、自分の心さえ交換だとしようとする一夏の意思に反するかのようです。交換でしか感情を整理できない一夏が草舟を流すことは、交換の反対のものを求めている一夏の本心そのものでした。

一夏はどこかで、交換の関係に寂しさを感じていました。









考えたくないことを考えてしまう

息を切らせながら、夕凪一夏は昇降口へ戻ってきた。
食事もとらず、延々グラウンドを走っていた。

走っていたのに……やはり、考えてしまっていた。
考えたくないことを。

―中略―

(りっくんも……)
(あたしが能力を使えなくなったら、もう……いらないの……?)

もう、彼のそばにいられない......?
きっとそう。
彼には仕事がある。仲間がいる。
能力と共にある?能力者といういきもの。
能力が消え始めている自分は、決してその仲間にはなれない。

もう、彼のそばにいられなくなる。
彼があたしをかまってくれる理由がなくなる。

「っ……!」

一夏はまた、グラウンドへと駆け出した。
たとえ無駄だとわかっていても、やはり走られずにはいられなかった――――


一夏(一夏√)

一夏が考えてしまったのは、自分があげられるものが無くなったら、一緒にいてくれる理由も無くなることへの不安でした。一夏が走ることで悩みから解放されるという、交換のような願いはさらにここで崩れます。

一夏が本当に苦しい時、その悩みは走ることでは消えるどころか、考えたくなくても考えてしまうようになってしまいます。一夏が走ることで消えると思っていた苦しさは、走ることでは逃げていただけで、消えてはいなかったからです。
交換で整理できていたという一夏の感情もまた、交換では決して片付けられないというのが一夏の本心でした。

しかし交換以外で関係を取り持つ方法を知らないため、走ることが無駄だとわかった今もまた、交換でしか自分の感情と向き合えない一夏を表しているように思います。









姉に対する反抗心

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「いつからかな」
「お姉ちゃんが、あたしに構わないようになったのは......」

たぶん、学校を卒業し、勤めに出てからだと思う。
仕事でいそがしいせいだろう。一夏を気にかける余裕が無くなったのかもしれない。
そしていつしか、それが普通になった。
現にお姉ちゃんは、地元を離れることになっても変わらなかった。
家族と離れることを気にしていないようだった。
もしかしたら一夏は、そんな姉に対する反抗心で、姉を追いかけたのかもしれない。


一夏(共通)

そして一夏がずっと抱えてきた悩みは、姉がいつしか一夏に構わないようになったことでした。

だから追いかけさえすれば、何か役に立てばという「交換」さえすれば、もう一度姉は構ってくれるようになるにではという淡い期待が反抗心と共にありました。一夏が交換に拘っていた源泉はここにあります。

しかしそんな期待さえ、裏切られて続けてきました。

夕凪一夏は、河川敷を走っている。
だけど足は鈍かった。
疲労ばかりが重なるだけだ。

一夏は足を止めると、ふらふらと河辺に寄って、しゃがみ込む。
水面に、元気のない自分の顔が映っている。
それを見ると、ますます気分が重くなる。
だけど、自主練を切り上げて帰宅するつもりはなかった。

「家に帰りたくないな......」

どうせ帰っても、一人なんだから。
お姉ちゃんはいないんだから。

「......昨日も、ずっと一人だったしね」

一人の寂しさは募るばかりだった。
だからテストが始まる前も、終わったあとも、走ることを選択した。
少しは気持ちが紛れると思ったから。
一人で家にこもっていたって、落ち込んでしまうだけ。
美晴のことを思い出してしまうだけだ。

一夏はいつも、下校の途中で食材を買う。
今では一人分しか作らないが、最初の頃は、姉の分も作ることが多かった。
もしかしたら、姉が早く帰ってきて、夕飯を食べるかもしれないと思ったから。
一緒に食べられると思ったから。

だけどその期待はいつも裏切られた。


一夏(共通)

一夏は家事をする、利用されるだけというのは寂しいと思っていました。それでも一夏が夕飯を用意していたのは、姉が早く帰ってくるかもしれない、そうすることで一緒にいられるかもしれないと考えたからでした。
たとえ交換だけの関係だったとしても、それでもつなぎ止めていたかったからです。

ですがそんなかすかな期待さえ、いつも裏切られていました。夕飯を作って待っていても報われず、そして家には誰にもいなくて寂しい。どちらもとても寂しいことでした。

寂しい思いばかりで一緒にいることさえなく、そんな自分に意味があるのか問いかけずにはいられません。

「お姉ちゃんにとって、あたしはなに?」
「おまえは、私の妹だ」
「それは、どういう意味で……?」
「そのままの意味だ」
「おまえは、私の妹。それ以外のなにものでもない」

「……都合のいい妹って意味だよね」
「一夏……?」
「前は家事のための妹で、今度は研究のための妹ってことだよね……」

一夏の声は震えている。
それはどんな感情によるものだろうか。


一夏、美晴(共通)

家事のための妹、研究のための妹。どちらも利用価値があるということを意味しています。
妹だから姉と一緒にいられるということではなく、妹として都合の良い利用価値があるーー交換としての理由のほうが大事だと一夏は感じていました。

その交換で成り立っているのは形としての妹ということであり、妹としては見てくれていないことになります。姉にとって一夏の意味は無く、利用価値として形だけ存在してくれたらよいのではないかという、交換の関係を寂しく感じていたのでしょう。

そして交換としての関係の寂しさに加え、そのようにしか見てくれない姉への静かな怒りや悲しさが感情を分からなくしているのだと思います。

何もかもが分からなくなった一夏は、今まで願っていた「姉と一緒にいたかった」という気持ちさえ分からなくさせます。

「やっぱり、能力者じゃなきゃ、あたしに価値はなかったの……?」
「……そんなわけがない」
「うん……あたしも、そうじゃないって思えるようになってきたのに……」
「りっくんと、こういう仲になれたのに……」
「なのに、お姉ちゃんは……」

草舟は、ゆっくりと流れていった。
それを見送ると、一夏は沈み込むように視線を落とした。

「……もう、なにがなんだかわかんないよ」
「お姉ちゃんが、なにを考えているのか……」
「あたしは、お姉ちゃんについていくべきだったのか……」
「もう……よくわかんないよ……」

――――なにかに、満たされたかったんだろう。
夢中になることで、なにかを忘れたかったんだろう。
寂しさの裏返し。


一夏、陸(一夏√)

なにかに満たされたかった。その“何か”は、きっと姉と一緒にいれば見つかるはずでした。しかし忘れたかったことさえも、その姉のことです。だから何も分からない。
一夏に意味や価値がなければ、一緒にいることさえつらく寂しいものになってしまいます。一夏にとって何も分からなくなってしまう恐ろしさはここにありました。

一夏にとって意味や価値は、姉が今まで交換で築いてきた中では見つけられませんでした。だからこそ寂しく思ってしまいます。









同情ではない関係

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「落葉ちゃんが世話焼きだって言うのは、知ってるよ」
「あたしは、それに助けられたこともあったけど」
「だけど、今はいいから」
「もう、いいから……」

「優しくされると、辛くなる……」
「優しくされればされるほど、思い出しちゃうの……」
「昔の、優しかったお姉ちゃんを……」


一夏、落葉(一夏√)

一夏を救ってくれたこともある落葉の優しさ、しかしその優しさは、今はもう感じることのない姉の優しさを思い出させるものでした。

ですが優しくされると辛くなるのは、もう一つ奥深くに根ざしていた一夏の想いがあります。

「ねえ、落葉ちゃん……」
「あたしは、そんなつもりなかったよ……」

「落葉ちゃんと、傷を舐め合うつもりなんて、なかったんだよ……」
「…………」
「あたしは、落葉ちゃんに同情してほしかったわけじゃない……」
「優しくしてほしいわけじゃない……」

「……一夏。私は、そんなつもりじゃ……」

「ごめん、落葉ちゃん」
「今は、一人にして……」

一夏、落葉(一夏√)

一夏と家庭環境が似ているから、落葉は親近感で一夏のことを心配していました。
しかし一夏が優しくされると辛いのは、1つは昔の優しい姉を思い出して、今の冷たい姉のことを考えさせられてしまうからです。しかしもう1つ、同情してほしくないという本心があります。

ここでの同情とは、落葉にも一夏にも同じような家庭環境にあるから、そのことで傷の舐め合いのようなことをしたくなかったからです。
これが意味するのは、一夏と落葉が同じ寂しさを抱えているから、友だちとしての関係が成り立っているということです。それはまるで、お互いの持つ寂しさを交換条件にして、関係が成り立っているとも言えます。

「ね、落葉ちゃん。あたしはね、こんなふうに普通に話せる関係がいいな」
「同情とか、そういうのじゃなくて……」
「気を遣う関係なんかじゃなくて」
「秘密を持ったり、隠し事があったりしても、こうやって気楽に話せる関係……」
「それが、友だちじゃないかなって思うんだ」

「一夏……」
「だから……これからも、よろしくね」


一夏、落葉(共通)

これは落葉とのすれ違いがどのように解消されていったのかが書かれている部分です。次の項目で語る内容と順番が前後してしまいますが、一夏は落葉とどう折り合いを付けられたのか書いていきます。

一夏が望んでいたのは同情で気を遣う関係ではなくて、お互いの辛い部分、家庭環境の似ている部分があったとしても、それを気にせずにそばにいられることでした。

一夏は、一緒にいることに交換があることを、友達という関係には望んでいませんでした。
一夏は同情や傷の舐め合いのような関係を嫌がって、そのような交換の優しさに触れる方が寂しいから、前のところでは一人になりたいと願っていました。










弱い自分は、嫌いだ

一夏は再び一人きりになる。
そうすると、また寂しさが募ってきた。
さっきよりも、その重さは増していた。

「なにやってるんだろ、あたし……」

自己嫌悪……。
こんな自分、嫌いだ。
落葉ちゃんに当たっても、しょうがないのに。
悪いのは、弱い自分のはずなのに……。

一夏能力者に(一夏√)

交換条件のような関係が嫌だから、落葉の同情を拒絶していました。ですが交換や同情での関係が寂しいからと一人になっても、孤独の寂しさもまた大きくなるばかりでした。

一夏が感じていた弱さは、優しくしてほしいはずなのに落葉の優しさ受け取れなかったことや、一人は寂しいはずなのに一人になってしまったこと。何もかもが矛盾していている自分のことを弱いと思っていたのだと思います。

交換が嫌だからと同情でないものを欲しても、交換でない関係が良いと相手に押し付けるのも、新たな交換条件としての一緒が生まれるだけだったのだと思います。だから弱いのは自分自身だと思ったのでしょう。

(ちなみに一夏ちゃんは、この寂しさを募らせていくうちにルーンに目覚めて、エルフィンになっています。
その後ルーンは、一夏ちゃんにとって一緒にいるための理由として、大切なものだと認識するようになります)

何かをあげるから何かをしてもらえる、優されるから優しくする。一夏はそのような交換でしか関係を築けていなかったのかという問いについて見ていきたいと思います。









交換の裏にある交換でないもの

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「お姉ちゃんは、あたしを妹だって言うけど」
「それは、あたしが変わってしまっても?」
「能力者になってしまっても?」

「ああ、なにも変わらない」
「何度でも言おう。おまえは、私の妹だ」

一夏はまだ、腑に落ちない顔をしている。

「ほかに問題があるのか」
「そ、そういうことじゃなくて……」
「お姉ちゃんの言葉が、信じられないっていうか……まだお仕事中なのに……」
「私は、おまえの経過を見ると言っただろう。そのためには、なるべくお前のそばにいないとな」
「……お仕事のために?」
「そうだ」
「うん……。そっか」

このとき初めて、一夏の表情に笑みが浮かんだ。
ささやかで、控えめな笑顔だった。

「お姉ちゃんはやっぱり、自分勝手で、自分本位で……」
「だけど、なんでだろ……」
「今は、お姉ちゃんの言葉が、心に響く……」
「たぶん、あたし、ホッとしてるんだ……」
「あたしがどんなふうになっても、どんなに変わっても、お姉ちゃんは変わらないんだって……」

「……バカだな」
「おまえだって、なにも変わっていない。どこも変わってなどいないんだ」
「おまえが不安に思うことは、ないんだよ」

美晴さんの表情にも、控えめな笑顔が浮かぶ。
きっと二人はすれ違っていた。
じゃあ今、二人は和解できたのだろうか。
わからない。

だが、二人の間で途切れかけていたなにかを、またつなぐことができた。
俺はそう感じることができた。


一夏、美晴(共通)

一夏は仕事のための存在と言われているのに、そんな姉の言葉が胸に響いたのは、たとえ仕事のためではあっても、これからは妹のそばにいてくれることに安心のような気持ちだったのかもしれません。

ですがその理由よりも大きかったのは、仕事のための存在だったとしても、妹という変わらないもの――交換条件ではない関係を姉との間に見出せたから、一夏は少しだけ安心できたということなのでしょう。
一夏にとって妹という関係は、家事のためや仕事のため、エルフィンへと変わっていったとしても、妹という関係は決して変わらない関係で、姉がその関係を一番強く主張してくれたこと、それが一夏にとっての安心をくれたはずです。

姉とはずっと交換の関係ばかりを意識し、その関係すら期待しても裏切られ続けた一夏にとって、交換の中にあっても交換とは違うものを姉との間に見出すことができたのでしょう。二人がすれ違い途切れていたものが、またつながれたという意味のだろうと思います。

交換の関係の中であっても、それだけではない気持ちというものがあったのです。









「理由」としての一緒

もっと一緒にいたい、だからもっと一緒にいたいって、そう思って練習すればするほど……。
『一緒』は短くなってしまう。
いずれ、なくなってしまう。

 
 

それでも。
『だったら、こんな力、最初からないほうがよかった』だなんて、自分には決して言うことができない。
できるわけないよ……。
だって、これは……。

「りっくんとの……」

「もっとりっくんと一緒にいたくて……」
「能力が上手に使えるようになればって……」
「あたしを助けてくれたりっくんに……」
「早く、あたしも何か、してあげられるようになりたいって……」

未整理の感情をもらしながら、一夏は内心決意していた。
――――なら、使わない。
このことを、りっくんには言わない。

少しでも長く、彼と一緒でいたい……。
能力という『理由』が、少しでも長く、あたしの中に留まっていてほしい……。


一夏(一夏√)

ここでの一夏は、ルーンを失いつつあることに気づいてしまったところです。姉にはそのことを悟られてしまっていて、陸と特訓をこのまま続けていくと、ルーンを失うということになってしまうことに怯えを感じていました。

一夏にとってルーンとは、『理由』でした。姉はルーンの研究をしていて、陸はエルフィンの仲間とルーンを通して仕事をしているから、一夏はルーンを通してでしか関係を持つことしかできず、そうして一緒にいることができました。
だから一夏にとって理由がなくなってしまえば、どうしたら一緒にいられるのかわからなくなってしまうのです。

だから一夏は、一緒にいるための『理由』を失わないために、少しでも長くその理由を、少しでも長く一緒にいたいと思っています。一夏にとっては理由がなければ、誰かと一緒にいることはできませんでした。

一夏が交換であげ続けなければいけないと思っていたもの、必要だと思っていたもの、それは一緒にいるための『理由』でした。

では一緒にいるための理由が無くなったしまったら、何もかも無くなってしまうのでしょうか。









共有できる気持ちは、なくならない

「あたし、りっくんと一緒にいたいよ、落葉ちゃん……」

「……それが、『好き』ってことなんだと、私は思うけど」
「きっと、なんの理屈も、理由もなくて」
「ただ、その人となにかを共有していたい気持ちが……」

「…………」

「その共有できるなにかが、なくなっちゃったら……どうすればいいの……」
「なくならないわ」
「それは、なくならないって、私は思っていたい」

「あたしには、そうは思えないよ、落葉ちゃん……」
「難しいよ……」

「うん、私も言ってて自分でそう思う……すごく難しい……
「だから私はまだ、誰かに恋をしたことがないんだと思う……」


一夏、落葉(一夏√)

交換を意識する一夏にとって、一緒にいたいという理由も、そして気持ちも、与えたらなくなると思っていました。今までの姉との関係も陸との関係も交換で成り立っていたので、どうしたら交換ではなくなるのか、難しくてわからないものでした。

ですがそれでも、決してなくならないものはあると落葉は言います。
好きな気持ちは『交換』ではなく共有するなにかだと言われています。そしてその共有したい気持ちには理由はないから、交換のようにはなくならない。それが好きという気持ちだと言いたいのです。

そしてその共有できる気持ちは、いつの間にか一夏たちには存在していました。









気づけばいつの間にかあった気持ち

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「最初はただ、義務感だったよ」
「気づけばただ、頼られることが素直にうれしくなっていた」

「そ、っか……」
「……じゃあ、つくづく一緒なんだね」

一夏、陸(一夏√)

「今まではずっと、してもらった分、なにかをしてあげなきゃって思ってたけど……」
「だけど、違うんだね……それだけじゃないんだね……」
「交換でも、一方通行でもない……」
「なんの理由もいらない……」

「これはただ、あたしたちのまんなかにあるんだから……」

好きという、二人で育ててきた気持ち。

一夏(一夏√)

好きとはどのようなものなのでしょうか。それは交換でもありましたが、同時に交換だけではなくなっていました。
陸が最初は義務感で特訓につきあったり、一夏も助けてもらえたから好きになれたりと、交換から始まっています。だから一緒にいることに理由がありました。

しかしそんな二人は一緒にいるうちに、そんな理由はあまり大きなものではなくなっていったのだと思います。理由はもうなくても、なくならないものができていました。
そんな変化から生まれた、ただ一緒にいたいだけの気持ちが、「好き」という気持ちでした。

交換だけではない想いーー交換の裏にあっ交換ではないような気持ちが、一夏が得られた好きという気持ちへの答えでした。









口実なんて要らなかった、素直に向き合えばよかった

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「昔、ロケットの打ち上げを、二人で見たな」
「…………」
「一夏は、いつもはしゃいでいた」
「目を輝かせて、空の向こうへ飛んでいくロケットを見上げていた」
「私の手を握って、すごいね、すごいね、と笑っていた」
「……うん」
「あれが、私の原風景だ」


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「おまえからルーンが失われ、私もまた、家に帰る名目を失った」
「名目……」
「そうだ」
「それじゃあ、あたしを月ヶ咲に置いていったのは……」
「……榛名くんと恋仲になっているおまえに、私の都合で、ついてこいとは言えないだろう」
「私には、ついてこいと言える名目もなかった」
「あたしが能力者じゃなくなったから……」
「そうだ」
「ご飯作る妹が、同じ家にいなくなっても……?」
「それは理由にも、口実にもならない」
「名目とか、理由とか、口実とかっ……」

一夏はそこで言葉に詰まってしまう。
感慨めいた、悔しがるような表情。
けれど、染み入るような理解があったはずだ。

「理由がいる質なんだ、私は」

ふっと、そこで美晴さんは苦笑を浮かべた。

「一夏。おまえにも、同じようなところがあるだろう」
「……そうだね」
「ううん、そうだったね……ついこの間まで、あたしは理由や名目がないと、なにもできなかった……」
「おまえのそういうところは、よく理解できる」
「私も、同じだ」
「あたしたち、姉妹だもんね……」
「ああ……」

美晴さんは笑みを浮かべたまま、しっかりとうなずいた。

「たとえ、なにがあろうと」
「…………」
「それだけは絶対に、変わらない」

「っ……バカだなあ、お姉ちゃんはっ……!」

「口実なんて要らなかったんだよ、お姉ちゃん……」

一夏は泣きながら、姉に思いを伝えていく。

「ただ、素直に向き合えば、それでよかったんだよ……」
「あたし、今みたいにすればよかったんだよ……」
「簡単なことだったんだよ……」
「やっと、わかったよ……」
「あたしたち、最初から、すれ違ってなんていなかったんだから……」

一夏、美晴

ロケットに目を輝かせていた妹と、そんな妹を見ているのが何よりも好きだった姉。何ものにも染まっていなかった幼かった頃の原風景は、今も変わらず続いていたーー。

一夏にとって人との関係に交換(=理由)がなければどうしてよいかわからなかったように、美晴もまた交換条件でしか関係を持てませんでした。
美晴は宇宙開発の道に進んだのも、一夏の宇宙への夢を叶えて一緒にいるための理由であり交換条件でした。その結果姉妹ですれ違いが生まれてしまい、一緒にいられなくなってしまっていました。しかしそれでも、美晴は姉であろうとしていたのです。

では二人が一緒にいるためにはどうすればよかったのか。それは交換条件を用意することよりも、ただ素直に向き合うことでした。簡単な答えのように思えますが、二人にとって難しいことで、今までわからなかったことでした。

しかし二人は本当は最初からすれ違っていなかったように、二人には最初から理由なんて要らなかった。だからこそ通じ合えたし、素直になれました。
二人には何も変わらないものが最初からあり、幼かった頃の原風景は姉妹という交換条件ではない関係として、最初からありました。それに気づけていないだけでした。

――――ああ、やっぱり。
姉妹の抱擁に目を細めながら、俺は思っていた。
一夏が求めていたものは、初めからそこに在って。
ただ、二人とも不器用すぎて、うまく気づけなかっただけで。
うまく伝え合えなかっただけで。
けれど、もう違う。
勇気を出してほんの一歩、足を前に進めただけで。
確かめ会えている。
そこにあったと、気づけた。

なにも変わらない。変わっていなかった。
二人はずっと姉妹で――これからも、そうなんだ。
思ったとおりだった。


――美晴、陸(一夏√)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

振り切るためではなく、未来へと向かうためへと

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一夏はもう、なにかを振り切るために走ることはしない。
その足は未来へ向かって、元気よく地を蹴って進む。

俺も一夏も、こんなふうに走れる日が来るなんて思っていなかった。
けれどそれは、今まではできなかったってわけじゃない。
最初から俺たちは、そうできたんだ。
それは、気づくこと。


一夏にとって走ることは、悩みから逃げ出すためのものでした。しかしその足は、悩みを振り切るためではなく向き合うためへと変わっていきました。交換に寂しさを覚え、振り切れないのだったら、まっすぐに向き合い、未来へと駆けるためのものだったのでしょう。

交換条件だけではない、大切な関係はどうすれば得られるのか。それは、気づくことでした。
交換条件で成り立つことも多いけれど、それでもいつか交換条件ではない、そんな愛おしいものが手に入るのかもしれません。だからこそ、気づくこと、素直になれることがこの姉妹には大事だったのでしょう。気づかなければ、見えない想いはきっとずっとすれ違ったままになるのでしょうから。

気づくための勇気の一歩さえ駆け出せれば、簡単なことだったと、そう分かり合えた姉妹がありました。

そして共有したい気持ちが決してなくならないように、向き合えば未来はどこまでも続いているのでしょう。そのことを信じてーー。














・気になったところ

草舟と一夏の思い出

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「......お姉ちゃんに、ね」
「あたしたちはそっくりだって、言われたことがあるんだ......」

一夏はやはり草舟を流しながら、ぼんやりと話し出す。
ひょっとして、草舟を流しているときは、いつも美晴さんのことを考えていたんだろうか......。
俺はふと、そんなことを思った。
一夏は少し、自嘲気味に笑う。

「でも、変だよね。そんなわけないのに......」
「......そんなわけないのか?」
「だって、あたしは不器用だし、頭も悪いでしょ?」

「お姉ちゃんは、そんなあたしとは逆で、昔から優秀だった」
「なんでも器用にこなして、頭もすごく良くて......妹として、誇らしいくらいだった」
「......同じくらい、コンプレックスでもあったけど」
「あたしはなんで、お姉ちゃんみたいじゃないんだろうって......」
「あたしが走るのが好きなのは、きっとその辺もあるんだと思う」

「え......?」

「思いっきり走ってると、なにも考えずにすむから......」
「お姉ちゃんとのモヤモヤも......全部、振り切れるから」

......そんな理由があったのか。
驚きながら、同時に納得もしていた。
今の話からすると、一夏の本質は、深く暗く思い悩んでしまう女の子以外のなにものでもなくて。
それは、俺が今まで見てきた一夏の一側面だったのは間違いない。
だとするならば、いつもの明るさは、努力のたまものとしか言いようがない。

「でもね......」
「仲が悪かったわけじゃないんだよ」
草舟の作り方も、お姉ちゃんから習ったんだ」
「ほんと、まだ子供の頃の話だけど......」
「お姉ちゃんが今みたいじゃなくて、あたしもまだ、無邪気に一緒にいられた頃の話だけど......」

「......やっぱり、そういう思い出があったんだな」
「やっぱり、って......?」
「一夏が草舟を流してるときは、お姉さんのことを考えてるんじゃないかって思ってたんだ」
「あはは......そうかも。作ってるとね、思い出しちゃんだ......」

次々とつながってくる。
一夏は傍らに生えている草から、また一枚、葉をもいだ。
手元で草舟を作りながら、その作業越しに遠くを見るような目つきをした。

「あたしは頭が悪いから、なかなか作り方が覚えられなくて......」
「......美晴さんは、辛抱強く教えてくれたんだな」
「うん......」

その成果が今、形になっている。
一夏は作ったばかりの草舟を、すぐに水面に浮かべた。
きっと、美晴さんと作ったときも、いつもそうしていたんだろう。

「......あの頃はほんとに、仲がよかったと思う」
「あたし、いつもお姉ちゃんのあとをついていってた」
「お姉ちゃんも、いつもあたしをかまってくれてた」
「ほんとに、いつも一緒だったんだよ......」


一夏、陸(一夏√)

一夏ちゃんは今は新市街に住んでいるという設定ですが、かつては田舎からこの月ヶ咲に引っ越してきています。そのかつての田舎では遊べるものが少なくて、そこで姉が草舟を教えてくれた経緯があります。この草舟という遊びが特別扱われるのは、そんな理由があります。

草舟を流すときは一夏ちゃんは姉のことを考えていましたが、姉とうまくいっていない今のことを悩んでいただけではなく、姉との思い出である昔を懐かしく思っての気持ちもありました。

草舟に思いを込めるという表現が本作と一夏ちゃんルートでは独特でいいな〜と思いましたが、これだけ色々な意味や設定が込められていたのはすごいですね。





落葉について

一夏の家族と落葉の家族は、重なる部分が多い。
おたがいの家族環境は似ている。
だからこれまで、落葉は親身になって一夏を心配していたように思う。
それが、間違っていたのかもしれない。
一夏を怒らせたのかもしれない。

「そっか、私......」
「一夏と一緒に、傷を舐め合おうとしていたのかもしれない......」

そんなんじゃ、おたがい、なにも変わらないのに。

落葉(一夏√)

同情について触れた部分の、落葉ちゃんの視点から語られる部分になります。

落葉ちゃんが感じていたのは家庭環境からの孤独で、だからその理由があることで一夏ちゃんと一緒にいたいと思っていました。落葉ちゃんにとってはどんな理由であったとしても、一緒になれる相手が欲しかったんだと思います。

でも傷を舐め合うだけでは前に進めない、そうしたら二人が友達として一緒にいる本当の意味とは、みたいなことを考えさせられます。





同情だけではなく、親近感も持っていた

「ねえ、一夏。たぶんだけど」
「私だから、悩みに気づけたんじゃないかって思うの」
「私とあなたは、似てるから......」
「だからこそ、友だちになったんだって......」

……そのとおりだ。当たっている。
一夏と落葉、二人の家庭環境は似ている。
落葉の父は仕事ばかりで、家族を顧みない。
一夏の姉も仕事ばかりで、家族を顧みない。
とても似ている。そっくり。
だから、そう。

「あたしも、落葉ちゃんに親近感を持ったんだ......」


一夏(共通)

一夏ちゃんと落葉ちゃんにはどちらも欠けたものがあり、同じ寂しさを共有できるこそ得られた絆があったと思います。
二人には同情の気持ちもありましたが、それと同時に親近感も持っていました。だからこそ一緒になることもできたのだと思います。

雪々グランドルートでも書いたことですが、アストラエアの白き永遠で評価していることの一つに、心とはこういうものである!というテーマを示しながらも常に、心とはそれだけではない、という否定の部分も描くところだと思っています。
ここでも同じで、二人の間にあったのは同情の気持ちでしたが、決してそれだけではない親近感も持っていたのだと。そういった書き方がここでもされていたことが印象的でした。





心はのぞいてはいけない

「一夏は念動能力が得意な分、精神感応能力が苦手ってことだ」
「そうなの?」
「ああ。だからさっきみたいなことになったんだ」

「……あたしの心をのぞいたら、ダメだからね」


一夏、陸(共通)

一夏ちゃんは陸に、心をのぞかれたことに強く抗議しているところです。ちなみにこの周辺の場面では、一夏ちゃんは陸に心をのぞいてほしくないことを3回も伝えていました。それだけの想いがあったのだと思います。

交換というテーマとはまた違いますが、ここでは心はのぞき見るものではないということが書かれています。
この部分のテーマは詳しくは雪々グランドルートの、白羽教授と主人公のやり取りで扱われていましたが、ここでの一夏ちゃんでも既に同じことが書かれていました。





一夏はロボットのよう

「コロちゃん、いい子だよ。落葉ちゃんや葉月ちゃんともすぐ仲良くなると思うよ」
「相手がロボットだからって、二人は偏見持たないもん」
「あたしとだって、友だちでいてくれるし……」

「一夏はべつに、ロボットじゃないでしょ」

「……うん。あはは」

一夏はまだ、自分が能力者になったことを気にしているのだろうか。
……気にするなというほうが無理だよな。
むしろ一夏は、受け入れているほうだ。


一夏、落葉(共通)


ここで陸は、一夏は能力者になったばかりだから、そのことを気にしているのではないかと思っているみたいです。でもそれはちょっと違うのではないかなと思います。

一夏ちゃんの悩みは、『交換』をしないと、どうやったら一緒にいられるか分からないというものでした。それはまるで、一夏ちゃんの人間関係への想いや心は無機的なーーまるでロボットのようだと感じてしまっていたのかもしれません。

それに対して、そんな交換を意識せずとも人と一緒にいられたコロちゃんを見ていた一夏ちゃんは、コロナちゃんの方がずっと人間らしいと感じ、対照的に自分はロボットのようだと感じたのかもしれません。

(ちなみに違う琴里ルートで語られる内容ですが、コロナちゃんが憧れていたのは、そうした悩んだり苦しんだりする『心』を持った人たちへの憧れている気持ちもありました)

アストラエアの白き永遠で本当にすごいなって思うところは、同情に対する落葉ちゃんたちの考え方、一夏ちゃんの交換の意識に対する悩み、そして心を持つことの否定をテーマに持つコロナちゃんと、それぞれの人物の抱えていたものが、こうした会話の一つ一つに丁寧に散りばめられているところだと思っています。





変わらないもの、初めからそこにあったもの

変わらないもの。
初めから、そこにあったもの。
一夏にいっぱい教えてもらった。
きっと、俺の中にもあるのだろう。

「りっくん......好きだよ......」
「俺も、一夏が好きだよ」
「うん......」

能力者として生きてきた自分。
俺の人生を激変させた、能力というもの。
忌避すべきものと思っていたそれが、俺と一夏を結びつけーーーー
そして、この相手を愛おしく思える気持ちは、きっと能力が宿る前からここにあった。


一夏、陸(一夏√)

姉との距離を取り戻すためとはいえ、ルーンに対して前向きでまっすぐだった一夏ちゃん。きっとそんな一夏ちゃんと一緒にいると、生きる自由を奪い嫌悪さえしていたルーンにも、主人公は向き合い、前へと進めるようになったんだと思います。

そしてルーンが一緒へと巡り合わせてくれただけではなく、ルーンがあったからこそ、愛おしく思う気持ちはその前から既にあったことにも気付かされたのだと思います。

二人が一緒にいられたのは、そういった理由や交換がありながらも、それだけではなかったということが分かります。





たった一人のお兄ちゃんだから

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「お兄ちゃんなんだからしっかりしてよね」
「誰がお兄ちゃんだよ」
「椎菜ちゃんの、たった一人のお兄ちゃんでしょ」
「それがなんだってんだ......」
「椎菜ちゃんが迷子になったのって、渡部くんが原因なんじゃないの?」

〜中略〜

「渡部くん、朝からおかしかったし。椎菜ちゃんが迷子になったのと関係ありそうだもん」
「............」
「早く見つけてあげないと。椎菜ちゃん、どこかでケガでもしてたら大変だよ」
「......そんなこと言われても」
「お兄ちゃんなんだから、しっかりしなさい!」

「じゃあ、椎菜ちゃん......神社に向かったんじゃない?」
「初詣のこと、思って......」
「お兄ちゃんと一緒に、お参りしたいって願って......」
「っ......」

「あ......走っていっちゃった」
「神社に向かったんだね......。街外れにあって遠いから、急がないとだもんね」
「うん......。ちゃんと、お兄ちゃんしてるじゃない」

「ちょっと、うらやましいな」
「あたしのお姉ちゃんも、ちゃんとお姉ちゃんしてくれないかなって......」
「そんなこと、ちょっと思っちゃったじゃない」


一夏、渡部(共通)

私的に一夏ちゃんがすごく魅力的だな〜と思った部分です。

ここで起きた内容の背景ですが、色々あって椎菜ちゃんがエルフィンになってしまってルーンが暴走する、という共通ルートでの出来事です。椎菜ちゃんのルーンの暴走を主人公たちは抑えようとしますが、椎菜ちゃんの心を癒せるのはたった一人の兄である渡部くんだけだと考えます。
そこで渡部くんに来てもらもうとするわけなのですが、その願いを実はここで、主人公は一夏ちゃんに託しています。

そしてそんな願いを託された一夏ちゃんですが、彼女がどうしたのかというと、椎菜ちゃんとすれ違っていたせいで会いたくないと思っていた渡部くんに、「たった一人のお兄ちゃんなんだから!」と一夏ちゃんは背中を押してくれていました。

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その事実を知った上でこの兄妹の仲直りがあるのだと思ったら、この場面は感動的になるかもしれません。たぶん。
椎菜ちゃん兄妹の仲直りの裏では、実は一夏ちゃんの活躍が大きかったのです。

一夏ちゃんは思い悩んでしまう弱さをずっと抱えていましたが、同時に誰かの背中を押してあげられる強さも持っていたのだと思います。