白き永遠の世界

主にエロゲーの感想や考察について書いていきます。楽しいエロゲー作品に、何か恩返しのようなことがしたくてブログを始めました。

あまいろショコラータ 千絵莉ルート考察_大人であるために必要なものとは何か?(10803字)

私は、どうすれば大人になれるんですか?

大人がいないんだったら、私は何になればいいんですか?





【ジャンル】マイ・フェイバリット・ケモミミADV

物語性 C
テーマ性 B
独自性 C
萌え度 S
成長物語 A
総合評価 A

公式サイト| http://cabbage-soft.com


この記事は、「あまいろショコラータ」という作品の、雪村千絵莉ルート単体の考察記事になります。

この考察記事は、以前書きました天宮みくりルートの内容を踏襲したものになっていますので、もし気になればこちらも参照していただけると幸いです。
あまいろショコラータ 考察_幻想に満ちた世界で、たった一つの価値とは何か?(29710字) - 白き永遠の世界


まず初めに、みなさんの考える「大人」とは何でしょうか?
一見すると簡単な問いかけですが、これに対して答えを論じることは、意外と少し難しいのではないかと思います。

しかしこの千絵莉ルートでは、そのテーマに一定の答えを示した上で、「成長」を見事に書き切っていたと思います。ここが本作品が他作品を一歩リードする優れている点だと思っています。

そこでこの考察記事では、千絵莉が大人になるために必要だったもの、そして千絵莉がどのようにして大人になっていくのかを書くことで、作者が本作に込めたテーマである、「大人になるとは何か?」というテーマについて、本編の内容と併せて纏めたいなと思います。

雪村千絵莉が持っていた劣等感、そして大人になるとは何か、本作が示そうとした内容を知るきっかけになれたら良いなと思います。

以下からは本作の考察及び批評を書いていきたいと思います。


※以下からは完全なネタバレです。未プレイの方は、これより下は読まないことを強く推奨します。

※画像の著作権は全て、きゃべつそふと様に帰属します。

























性質の根源

「いいか、猫の獣人にはこういう格言があるんだ。“ロシアンブルーはめんどくさい”ってな」
「ロシアンブルーは……めんどくさい?」

千絵莉ちゃんがロシアンブルーの獣人だとは聞いてるけど、それって千絵莉ちゃんがめんどくさいってこと?

ナナが何を言わんとしているのかが飲み込めなくて、首を傾げてしまう。


――ナナ(千絵莉ルート)

まずは、千絵莉の「めんどくささ」の原因とは何でしょうか?

ここだけだと、めんどくささ=ロシアンブルーだからだと考えられそうですが、実はそうだと考えるのは早計です。
実際はそう単純ではなく、もう少し複雑です。

「“ロシアンブルーはめんどくさい”ですね」

「千絵莉ちゃんのご両親とは一度お会いしたことがあります。とてもお忙しい方々なので、少しの時間だけでしたが」

「お二人ともロシアンブルーの獣人でしたけど、大人でないわたしにも礼儀正しくて、めんどくさいなんてこれっぽっちも思いませんでした


――苺華(千絵莉ルート)

苺華の言っている内容から分かるように、実はめんどくささ=ロシアンブルーだからだとは限らないのです。

ここはそう単純ではなく、言っていることをそのまま意味しているわけではありません。

「自分の気持ちにもっと素直になっていいと思うんですけどね、千絵莉ちゃんは」

「千絵莉ちゃんは一生懸命で、不器用で、いっぱいいっぱいなんです」


ーー苺華(千絵莉√)

千絵莉のめんどくささの本当の原因とは、自分の気持ちに素直になれないことです。

だからロシアンブルーということではなく、めんどくささ=自分の気持ちに素直になれないということなのです。
それはロシアンブルーということではなく、“千絵莉が千絵莉”だからこそ、ということでもあります。

ではどうして、千絵莉は自分の気持ちに素直になれないのでしょうか?

それは千絵莉に、「大人になりたい」という気持ちがあったからです

では、「大人になる」とは何なのでしょうか?

本考察ではそのことについて書きたいと思います。








大人になりたい理由

まず千絵莉が、どうして大人になりたいと思っているのでしょうか。

千絵莉が大人になりたいと思うのは、こんな想いがありました。

「とにかく、私は両親や家を嫌っているわけではありません」
「でもだからこそ……嫌なんです。釣り合わない自分が嫌いなんです」

「すごいって人に言われても、すごいのは両親や会社であって、私ではないんですから」
「私はちっぽけで、自分じゃコーヒーも満足に作れない、何の取り柄もない、人に迷惑をかけてばかりの小娘なんですから」

「だけど一番の理由は……早く大人になりたかったからです」
「大人……?」

「私、この目が嫌で嫌で仕方ありませんでした」
「ただでさえ小さくて子どもみたいなのに、鏡を見るたびに、お前は子どもだって言われてるみたいで……」

「だから私は大人になりたかったんです。なんでも自分でできる立派な大人に

「私の家に、親に見合う人に、私はなりたかった」


――千絵莉(千絵莉√)

大人になりたいという気持ちは、ただ早く大きくなりたいということではないことから、これは千絵莉の心の問題です。
だからこそ千絵莉の心には、大人になりたいという気持ちには更に心因があります。

千絵莉は両親や周りの人が地位や権威のある存在でありました。
しかし千絵莉は体が小さいということだけではなく、周りに対する自身の存在は地位も権威もできることもない、小さな存在でした。

だから千絵莉が心が大人になりたいと思ったのは、周りに迷惑かけないために、周りに見合うための「大人」になりたかったのです

千絵莉があんなに頑張る理由が、大人になりたいと言った理由が、やっと理解できた。

つまるところ、千絵莉の一生懸命さの裏にあったのは、大きなコンプレックスだったんだ。

千絵莉の大人になりたい理由が理解できたところで、では大人になるとはどういうことなのでしょうか?









大人になるということ

「でもね、千絵莉。大人だって、千絵莉が思ってるほど大人じゃないんだよ」
「……え?」

「ちょっと聞きたいんだけど、千絵莉はどんな人が大人だと思う?」
「なんでも自分でできる人……人に迷惑をかけない人……」
「うん、それが千絵莉の大人なんだね」

「でももしそれが大人だとしたら、きっとこの世に大人はほとんどいないと思うよ」
「こんなこと言うと千絵莉ががっかりしちゃうかもしれないけど、大人だってなんでもできるわけじゃないんだ
「誰だって1つや2つ、いやもっと欠点があるんだよ」

「千絵莉から見て大人に見える人は、たまたまそう見えてるか、そう見せてる人だと思うんだ」
「見せてる?」

「そう。見せてる。自分の弱いところを人に見せないようにして、かっこよく見えるようにしてる


ーー千絵莉、柚希(千絵莉√)

千絵莉にとっての「大人」とは、なんでもできるから、迷惑をかけない人でした。
そして自分の気持ちに素直になれなかったのは、誰かに迷惑をかけたくなかったからです。

千絵莉は誰かに迷惑をかけるのが嫌だから、大人になって、立派になって、迷惑をかけない人になりたかったのです。

しかし、そんな千絵莉の思い描いていた大人という像は否定されます。

大人になるとは、千絵莉の言う欠点を無くすことではなく、欠点を見せないようにすることです。

「じゃあ……じゃあもし柚希さんの言う通りだったら――」
「私は、どうすれば大人になれるんですか?大人がいないんだったら、私は何になればいいんですか?」

千絵莉が張り詰めた表情で僕を見つめる。
自分で嫌いと言った青い瞳が涙でうっすらと潤む。

「なりたい自分を目指すのは、おかしなことじゃないと僕も思う。そのために努力する千絵莉を、僕は立派だと思ってる」

「だけどね」
「誰だって、苦手なものや嫌いなもの、できないことがある。千絵莉のキウイみたいに、自分じゃどうしようもできないこともある」
「でも無理して頑張るんじゃなくて、それに折り合いをつけて、うまくかっこよく見せるのが大人だと、僕は思うんだ」

「でもやっぱり、なんでもはできないよ。残念ながらね」
「そんな自分と向き合って、それも自分だと受け入れて、うまく付き合うことが、立派な大人なんじゃないかな」

「自分と向き合う……」


ーー千絵莉、柚希(千絵莉√)


「それ、本当にかっこいいんでしょうか……」
「力づくで押し通すよりスマートでかっこいいと思うけど。柔よく剛を制す、みたいな?」

「まあ結局、誰だってできないことはある。苦手なものは仕方ない」
「できないことはできないままでいいって言うんですか?」
「それは違う。もちろん、できないままでいいこともあると思うけど、今できないことはできないって認めた上で努力しないと

「できないのを認めたくなくて、ただがむしゃらになってるだけじゃ大人とは言えないよ」

「ッーー!」
「今のは、刺さりました……」


ーー千絵莉、柚希(千絵莉√)

大人になる、かっこつけるーー。

それは、欠点を無くすということだけではなく、できない自分の弱さを認めること、そんな自分を受け入れる中にあります

弱いところを見せない。それは自分を偽り、“嘘”で固めているように思えます。しかしそうではありません。

千絵莉がそうであったように、苦手なものを認めず、自分を受け入れないことこそが、自分を嘘で固めていることになるのです。

だからこそ、千絵莉が大人になるために必要だったことは、自分を“嘘”で偽らないためにーー自分に素直になる必要があったのです



「正直、なんでもできる大人になりたいって気持ちはまだあります」
「でもそれは、私が子供だから余計にそう思うのかもしれません」

でも誰だって大なり小なり、なんでもできる人になりたいと思っている。
だけどそんなの無理だから、人はできる範囲で頑張るしか

「残念ながら……とても悔しいですが、私は何でもできるわけではありません。不器用で、新しいことを覚えるのも時間がかかります」
「だから、自分とうまく向き合える大人を……目指してみたいと思います」


人によって大人になる道のりは違うかもしれない。
だけど、自分を見つめるのもその一つだと思う。

「今回はご迷惑をおかけしました。めんどくさい私ですけど、これからもよろしくお願いします」


ーー千絵莉(千絵莉√)










理想を叶えるための現実


「相手が自分のことをどう思っているかわからない、なんて当たり前です」
「大事なのは、柚希さんがどう思っているかですよ」


ーー苺華(千絵莉√)

「私、やっぱりめんどくさいです。こんなんじゃ恋人失格です……」
「でも私、柚希さんに嫌われたくないです。どうしたらめんどくさくなくなるでしょうか?」

ー中略ー

「めんどくさくて迷惑かけてるんじゃないかって、考えるのもしんどいよね」
「だから、やりたいこと、欲しいものをちゃんと口に出して言う。それだけで大分めんどくさくなくなるんじゃないかな」


ーー千絵莉、柚希(千絵莉√)

誰かに迷惑をかけたくない、嫌われたくないーー他の人や周りを意識してしまうからこそ、誰もが理想の自分というものを追い求めてしまいます。

しかし理想とは理想であるために、現実のとはかけ離れているもので、現実の自分を認めて知ろうとしないと、理想への距離とは分からないものです。
それは相手の気持ちが分からないからこそ、相手のために、自分がどう在るかを考えることが大切であったようにーー。

今自分に何ができて、何ができないのか。それを認めてこそ、理想の自分になることができるということが、ここでの大切なメッセージでしょう。
それがずっと自分のことが嫌だった千絵莉にとって、自分を認めるということが大人になるために大切だったのです。

だからこそ千絵莉には、理想や夢を叶えるためには、弱い自分を認めて、自分に素直になることが必要でした


それでは最後に、千絵莉が“どんな気持ち”に素直になることで大人になろうとしたのか。それを書いてこの考察のまとめとしたいと思います。









一緒に支えてくれた想い


「ごめんなさい。私、またバカなことするところでした」
「どうせ好きになってもらえるわけないって思って、逃げようとして、正面から向き合おうとしませんでした」

「でも私からも言わせてください」

「私……私は城川さんが好きです」


ーー千絵莉(千絵莉√)


千絵莉が素直になりたかった気持ち。ずっとそばに在り、大人になるために自分を支えてくれた気持ちーー。

「ーー好き」


自分ができないことがあるから、誰かの支えが必要なんだと思います。

誰かが自分を好きになって、自分が誰かを好きになれたとき、そんな自分のこともまた好きになれると思います。

きっと「好き」という気持ちは、自分を成長させ、大人にしてくれるために大切な気持ちだったのではないでしょうか。

夢を叶えるとは、支えてくれる誰かが一緒だから、その誰かのことを想ってしまうのかもしれません。



「柚希さんのおかげで、歳だけじゃなくて……それ以外の部分も大人になれた気がします」

「私、まだ子どもですけど……大人になっても、ずっと一緒にいてくださいね」


ーー千絵莉(千絵莉√)



さて最後にこの「甘色ショコラータ」という作品が書こうとしていたものは、に対する気持ちそのものでした
(あまいろショコラータ みくりルート考察を参照)

だから千絵莉が大人になるために、背中を押してくれた気持ちこそ、この“恋”でした。








僕と千絵莉が出会ってから、そろそろ一年になるかという頃。

千絵莉は無事バイトリーダーになり、僕も学校の卒業が近づいているけど、今もセタリアでアルバイトを続けている。


「あと10秒くらい......」


「やったっ」



今ではちゃんとフォーミングミルクが作れるようになり、コーヒーも苺華やナナみたいに淹れられるようになった。

まだ目は青いままだけど、もう気にしないことにしたらしい。


「少しだけ待っててくださいね」



出来上がったフォームミルクを、あらかじめ淹れておいたコーヒーに注ぐとーー







「ど、どうでしょうか?こっそり練習してたんですけど......」


カップの中に浮かぶ白いハートは、フォームミルクで作ったラテアート。

フォーミングもできなかった千絵莉が、今はラテアートまでできるようになった。

成長を感じる......って言ったら先輩に失礼かもしれないけど。


「私の……気持ちです」


ハートが描かれたコーヒーを手に、千絵莉が微笑む。

このコーヒーが、セタリアという場所が、僕たちをつなげてくれたんだ。



「初めて会った時、チラシを拾ってくれてありがとうございました」

「言い訳になりますけど、私、物事を悪い方に考えちゃうみたいで……最初は疑ってしまってすみませんでした」

「だけど本当は……あのときから柚希さんのことが気になっていたのかもしれません」



「いつも支えてくれて、ありがとうございます。私、あなたが好きです」

「いいえ――」


「大好きですっ!!」





この好きという気持ちは、小さな自分に勇気をくれたーー。


ーーこれは恋への素直な気持ちが、小さな自分の背中を押してくれた物語












・感想

考察記事はここまでになります。ここまで読んでくださってありがとうございます。以下からは取り留めもない感想です。

あまいろショコラータはみくりちゃんルートは書いていたのですが、千絵莉ちゃんルートは書けていなかったので感無量ですね。書ききれて嬉しい気持ちもありますし、この作品がより好きになれて良かったと思う気持ちもあります。

さて千絵莉ちゃんルートの感想なのですが、千絵莉ちゃんかわいいですね。みくりちゃんが抱きつきたくなる気持ちも分かります。かわいさ溢れる子でプレイしていて幸せでした。

でもテーマ的には、みくりちゃんのルートに比べると面白さは少し劣る気がしています。みくりちゃんは共通から面白い考え方が示されるのに対し、千絵莉ちゃんは基本的に個別に入ってから「大人になるとは?」というテーマが示されるので、考えを巡らせる楽しみ方よりも、かわいさを楽しんでいましたね。

ですがさすがと言いますか...個別に入ってからは千絵莉ちゃんの気持ちから、みくりちゃんとはまた違ったテーマを投げかけられてからは本当に面白かったです。千絵莉ちゃんの一生懸命なかわいさがさらに感じられました。

千絵莉ちゃんは周りが優れた人ばかりだから、褒められてもそれは周りの人が優秀だから褒められているのであって、自分のことを褒められていないのが寂しかったのかな、なんて思いました。
主人公に頭を撫でで欲しいと素直な気持ちになっていた場面がありましたけれど、千絵莉ちゃんが一生懸命頑張ったことを褒めてもらえたときは本当に嬉しそうで、そんなことを思わされました。


千絵莉ちゃんルートで私が感じた感想はこんな感じでしたね。以下からは少しだけ気になった点などを書こうかなと思います。



「言葉と世界」

みくりちゃんの考察では「世界は想いと言葉からできている」みたいなことを書きましたが、ここはそんな言葉の大切さを感じられる場面だったように思います。

好きという想いをのせた言葉が、千絵莉たちの自分の世界を変えてくれたように、想いや言葉は誰かの世界を変えられるものなのでしょう。

みくりちゃんルートの内容に合わせて書くと、ヒロインの成長とは自分の世界が変わり、こうして世界が広がっていくことだと思いました。そんな世界の広がりは、そばにいてくれる誰かが与えてくれたものなのかもしれません。



「千絵莉とチョコレート」

最初あたりで千絵莉ちゃんがチョコレートが好きなのを隠す場面がありましたが、単に恥ずかしがり屋で言い出せなかったからだと思っていたのですが、それが違うことが個別に入ってから分かるのが面白いと思いました。

千絵莉ちゃんがチョコレートが好きなのを隠していたのは彼女の劣等感からでした。チョコレート会社を経営している両親に釣り合わないから、そんな優秀な両親の関わるチョコレートが好きなことを隠すことで、優秀な両親を隠して自身の劣等感を隠したかったからです。
千絵莉ちゃんは自身の劣等感と、両親に対して向き合うことができていませんでした。

恥ずかしがり屋でなかなか思ったことを口にできない千絵莉ちゃんでしたが、ここだけは少し事情が違います。

最初のチョコレートが好きなことを隠したところと千絵莉ちゃんの劣等感がつながり、作品のテーマの伏線となっているのは「おお〜!」と思いましたね。



「もっと前から恋してた」

この作品のヒロインはどちらの子も最初から恋しているんですね......。

みくりちゃんのルートでは“恋は特別だけどありふれたもの”と書きましたが、作者さんは一体どうして恋をこうした形にしたのかは分からないのですよね......好きになるというのは何の特別も理由もなくて、気がついたら好きになっていた、ということなのかな?と思ったり。

雰囲気としては、“ありふれた特別”という感じだと私は思いました。



「バイトリーダー」


「で、リーダーって何するの?」

「リーダーっていうのは周りを引っ張っていく人。まとめ役とか、そんな感じだね」

「じゃあ千絵莉ちゃんにぴったりだね!千絵莉ちゃん、ちっちゃいのに頼りになるもんっ!」

――みくり、柚希(千絵莉√)

みくりちゃんここでも良いことを言っているのですよね......。

「大人になるとは何か?」というのが千絵莉ちゃんルートでの問いかけでしたけれど、小さくても“頼りになる”という一言にその意味が込められているような気がしました。

頼りになるとは何でしょうか。ここでの千絵莉ちゃんはまだフォームミルクを淹れられないことからも、そうした形としての大人のことではないのかもしれないと思います。

みくりちゃんからすると、千絵莉ちゃんは面倒見の良い子だと思うのですよね。頼りになるとは、こうして誰かを想えることや、大切にしたいことに一生懸命なところなのかもしれないと思いました。きっとそれが、大人っぽいーーかっこよくあるということでもあるのかもしれません。

千絵莉ちゃんは抱きつくみくりちゃんに「仲良くすることと甘やかすことは違う、律するところは律するべき」と言っていましたが、これは千絵莉ちゃんが誰よりも友達として想ってくれていたからだと思います。これは他の誰にもない、千絵莉ちゃんだけの魅力だと思います。
そんな千絵莉ちゃんだからこそ、みくりちゃんにとっては頼もしく思えたのかもしれません。

みくりちゃんにとって、千絵莉ちゃんは一番の友達だったと思わされました。そんな友達だったら頼もしいと思えますし、こうして悩んでいる時には背中を押してあげたくなりますよね。

「べつに子ども扱いしてるわけじゃないよ。大人だろうと子どもだろうと、1人よりも2人のほうが安全だから」

ーー柚希(千絵莉√)

支え合う誰かのことを想えること、それもまた大人なのかなと思いました。



さて、終わりに「あまいろショコラータ」ですけれど、天宮みくりルートでは外の世界を生きるというテーマで、雪村千絵莉ルートでは大人になるという、それぞれ別々のテーマが示されています。
ですがその別々のテーマを通してヒロインの「成長」が描かれ、一つの方向性を持った“物語”になっているのは見事だなあ、と思いました。

一緒にいること、誰かを想う気持ち。その大切さを“恋”を通して感じ取れる作品だったと思いました。この作品の制作に携わったみなさんに感謝しています。ここまで書くのは少し大変でしたけれど、この作品に出会えて良かったです。