白き永遠の世界

主にエロゲーの感想や考察について書いていきます。楽しいエロゲー作品に、何か恩返しのようなことがしたくてブログを始めました。

あまいろショコラータ 考察_幻想に満ちた世界で、たった一つの価値とは何か?(30037字)

ねぇねぇ、『ファンタジー』って何?





【ジャンル】マイ・フェイバリット・ケモミミADV

物語性 C
テーマ性 A
独自性 C
萌え度 S
世界考察 A
総合評価 A

公式サイト| http://cabbage-soft.com


この記事は、「あまいろショコラータ」という作品の、天宮みくりルート単体の考察記事になります。

まず初めに、ファンタジーとは空想や仮想などと表現される、非現実的または非日常的なものという定義が恐らく一般的な意味なのではないかと思います。しかしこの作品上では、それとは大きく異なった答えを示していていました。
そこでこの作品における『ファンタジーとは何か?』ということについて考察してみたいと思います。

さて本題に入る前に、私がこの作品の体験版をプレイした時に、この作品からは強烈なメッセージ性を感じていました。その価値観である『ファンタジーとは?』という問いかけが非常に面白く、また全体を包括する考察記事が書けると思ったため、発売前からこの作品には大いに期待していました。
そうして本編をプレイしてみた感想なのですが、本当に面白かったです。かなり期待してプレイしたわけなのですが、想像した十倍くらいは内容に深さがあり、ここまで面白いとは正直予想していませんでした。『ファンタジーとは何か?』を主軸に考察をするつもりではあったのですが、ここまで深く切り込んだ内容になるとは思ってもみませんでした。まさに期待以上のメッセージ性を持っていました。

この作品はミドルプライスですけれど、内容としてはその枠の中で書きたいことをしっかりと書いた、非常に良い作品だったのではないかと感じました。私にとってはとても思い出に残る、一生ものの作品になりました。

そしてこの作品で私が感じた良さやメッセージをまとめてみました。長文になりますが、この作品を好きになってもらえたら、もっと好きになってもらえたら幸いです。


それでは、以下からは本作の考察及び批評を書いていきたいと思います。


※以下からは完全なネタバレです。未プレイの方は、これより下は読まないことを強く推奨します。

※画像の著作権は全て、きゃべつそふと様に帰属します。

























神秘の個別性


神秘的な光景に、そしていつものみくりとは正反対の静謐な空気に言葉を失う。


みくりは獣人で、神様の声が聞こえる巫女さんで、とても神秘的な存在だ。
普段は元気いっぱいだから、そんなの忘れちゃうけど。


――みくり、柚希(共通)

まず幻想とは何かという問いの前に、普段とは正反対のみくりに対し、主人公は神秘を感じていました。そんなみくりに神秘を見出しているように、主人公にとっての神秘とは、普通とは違うーー特別なものに対して抱いた感覚です。

これに対して、みくりもまた違った神秘の形を感じていたのではないでしょうか。みくりが些細なことでもとても物珍しそうにしていたように、ここでの神秘とは、ありふれたものに溢れた世界――――普通のものにこそ神秘を表しているのではないでしょうか。

ではここで「ファンタジー」とは何か?というと、こうした神秘と同義であり、また神秘を見出すことだと本作では捉えているように思います。









ファンタジーとは何か


「みくりさんといい、城川さんといい、まるでファンタジー世界の人と会った気分です……」
「そうなの?でも、初めて獣人のことを聞かされた時は僕もそんな気持ちだったよ」

「ねぇねぇ、ふぁんたじーって何?」

「うーん……幻想、異世界……自分の世界とは違うって感じかな」
「あっ、それならわかるよっ!この町って里とぜんぜん違うもんね!」

僕たちそれぞれが、それぞれ違う意味で『ファンタジー』を味わっている。
それが不思議で、なんだかおかしいなと、ちょっと思った。


――みくり、千絵莉、柚希(共通)

みくりが夕渚町という街を見てとても好奇心を持っていたように、ファンタジーとはドキドキするような気持ちにさせてくれるものであるように感じます。ではファンタジーとは何か?

ここでのファンタジーの意味は(僕たちそれぞれが味わっていると言われているように)日常的なものであり、一般的な意味である非日常・非現実とは大きく異なっています。
ファンタジーはそれぞれ個人で意味や世界が違い、そんな誰かと自分の世界との違いを見つけることです。

神秘が“特別”なものから見出されるものであるように、ファンタジーもまた自分の世界との違いから見出される“特別”です。
ここでのファンタジーとは、神秘という意味が私たちには感覚的に近いのではないかと思います。


では「ファンタジー」とは何かと言うと、みくりたちが初めて新しい街を訪れたときの新鮮さにときめくような気持ちになっていたように、ありふれた日常の中から見出され、楽しい気持ちを与えてくれる“特別”ということです。

自分の世界と相手の世界は違うーー同じ世界(=日常)の中で、相手の世界にはあっても自分の世界には無いものを見つけること。
それがここでの“特別”であり、その日常の中から見出された特別が「神秘」や「ファンタジー」ということになります。

日常の中でこうした神秘を感じること、それがここでのファンタジー(=幻想)の意味です

「先のことがわからないのって怖くない?」
「確かにちょっと怖いけど、僕にはそれが当たり前だからね」
「ふーん……」

みくりの瞳が僕をまじまじと見つめる。
セタリアで再会したときのような、珍しいものを見るような表情で。

「うん、当たり前は人によって違うから」

人にはそれぞれの当たり前があって、その当たり前が、その人の世界なのかもしれない。
みくりの当たり前は、みくりの世界は、どんなものなんだろう。


――みくり、柚希(共通)

「自分の世界」とは、今まで自分が見てきた、経験してきた、その当たり前の積み重ねの世界という意味です
そしてファンタジーとは、それぞれのありふれた日常の中で経験しているものでした。つまり“ありふれた”ファンタジーもまた特別な経験であったことから、この「自分の世界」を生み出している経験です。
人の数だけ「自分の世界」は存在していて、だから同じようにファンタジーも人それぞれ存在しています。

ここで言いたいファンタジーの個別性とは、それぞれの“その人らしさ”を生み出すという意味に等しいことです。
つまりみくりにはみくり自身のファンタジーがあり、そんな彼女らしさを生み出している「彼女の世界」とは何か?ということを見ていきたいと思っています。


まずはなぜ本作が“ありふれた”ファンタジーと世界への観点を扱っているのかというと、そのありふれた日常こそが、外の世界を知らなかったみくりにとって特別だったからです。

この考察記事では、そんな特別である「みくりの世界とファンタジーとは何なのか?」について見ていきたいと思います。









言葉にできないもの


「なんていうか……言いたいことが全然言えない。なんかもう、すごすぎてわかんない」

初めて海を前にして、気持ちがこんがらがって何も言えなくなるみくり。
きっとみくりはもどかしいんだろうけど、僕にはそれがとても大事なことのように思えた。


「言葉にできない、ってやつかな?」
「……そうかも」
「なら、無理に言葉にしなくてもいいと思うよ。本当にすごいものは、すごいとしか言いようがないんだから」

我ながら語彙力がないけど、言葉じゃ表せないものも確かにあると思うから。


「柚希くん、笑ってる?なんで柚希くんが嬉しそうなの?」
「うーん……そうだね……」

「みくりにとって、海を見たのは、言葉にできないほどすごい経験だった」
「そういうのってなかなか体験できることじゃないし、とても素敵なことだと思う」
「きっとそんな経験が、みくりの何かをもっと豊かに、彩りのあるものにしてくれると思うから」


――みくり、柚希(共通)

「日常の中でのファンタジー」とは、すごいものであること、気持ちがこんがらがることーー総じて言葉にできないくらいの感動を与えてくれるもののことです。
神秘やファンタジーとはそんなたくさんの言葉にならない想いを抱えてしまうような経験であり、そして概念的であるから言葉にできないのでしょう。

では言葉にできないから意味のないものかというと、そうではありません。日常の中でのファンタジーは言葉にできなくても......言葉にできないからこそ価値があり、みくりたちの世界や人生に大事なものでもありました。

初めて街を見て新鮮な気持ちを感じたり、好きなケーキを当ててもらえて嬉しかったり、初めて見た海に感動したりーーそうした感動は言葉にはならなくても、その経験を通したたくさんの感情がみくりらしさを作り出し、世界を作り上げるものであるからです

だからこそ日常の中のファンタジーは、みくりの世界を彩り豊かにしてくれるものになっていきます。

「だから、みくりがそんな経験をしたことが、僕は嬉しいんだと思う」
「みくりは初めての海でちょっとビックリしてるところかもしれないけどね」

「……柚希くんの言ってること、難しくてわかんない」
「そうだね。僕も、自分で言っててよくわからなくなってきた」

「でもありがとう!」
「お礼を言われることじゃないと思うけど。僕が勝手に感じたことだし」

「ありがとうはありがとうなの!わたしがありがとうって思ったからそれでいいのっ」


――みくり、柚希(共通)

ここで「ありがとう」と言うみくりは、きっと主人公の伝えたかった言葉にならない想いは難しかったとしても、それでも大事なことに思えたからこそ、「ありがとう」と伝えたのだろうと思います。

言葉にできなくても、こうして誰かの心と通じ合っている。それもまたみくりにとっての特別であり、神秘やファンタジーなのでしょう。

「昔獣人が作った街に、今、獣人のわたしがいる。こういうのって、マロンがあると思わない?」


僕の憶測を聞いて、嬉しそうにはしゃぐみくり。
実際のところはわからないけど、こんなにみくりが喜んでくれるなら、当たっていてほしいと思った。


――みくり、柚希(みくり√)


「里を出てみてよかった。柚希くんに千絵莉ちゃん、苺華ちゃん、ナナちゃんに出会えたもん」
「コーヒーも、ソーセージも、ケーキも初めて食べた。海だって見たんだよ。ほら見て、ここからだって海が見えるよ」

「夢でも見てるみたい!」


そう語るみくりは、一片の曇りもない満面の笑みで。
夜空を飾る星に負けないくらいキラキラしていた。


――みくり、柚希(共通)

みくりが日常の中でこうしたファンタジーを見出すことはまるで、ロマンや“夢でも見ているよう”と言われています。みくりにとってファンタジーとは、ありふれた日常であるにも関わらず夢のように遠くに感じていました。
みくりの日常の中でのファンタジーとは、ありふれた日常にありながらも、夢のように遠く感じるからこそ幸せだと感じられていました。
みくりのファンタジーとは、こうしたありふれた日常の中にある特別のことです。

外の世界と自分の世界の違いを通して、こうして夢のように幸せだと感じていたことから、みくりは確かに豊かさや彩りを得ていました。

日常に楽しさや幸せを見出し、夢のように幸せで楽しい日々を送ること。それはみくりにとっては自身の“特別”なファンタジーであり、そして価値だったのでしょう。

「みくりは獣人の里で巫女をしてたんだよね。どうして里を出ようと思ったの?」
「神様のお告げ!」

〜中略〜

「じゃあ、それだけの理由で1人で出てきたの?」

「ううん、そうじゃないよ」

「母様は元々、里の外にいた獣人でね、こっそり外のことを教えてもらってたんだ。だからずっと外の世界に興味があったの」


ーーみくり、柚希(共通)

みくりは誰かに言われたからではなく、本当は自分の意志で外の世界を見てみたいと思っていました。

みくりが自分の意志で広い世界を見てみようとしたのは、そんな経験から得られる価値に自分の世界の“価値”を感じていたからだと思います。
こうした自分の世界の価値を感じることが、彩りや豊かさということになるのでしょう。

しかしみくりが、そのようなありふれた経験に神秘を感じファンタジーだと思ったのは、それが本当に夢だったからです。









ずっと一人だった


「周りは大人ばっかりで、みんな働いてる時間はいつも一人だった」
「父様も母様も、じい様もばあ様も、親戚じゃない大人だって優しくしてくれるんだけど……わたしには一緒に遊ぶ相手がいなかった

「父様が言ったの。みくりにも友達がいればいいのになって」
「母様に聞いたの。友達って何って」
「そしたらね、一緒に遊んだり、勉強したり、けんかしたりする人だって言われた」

「想像してたの。わたしに友達がいたら、どんな子なんだろう?」
「わたしに友達がいたら、どんなことをして遊ぶんだろう?わたしに友達がいたら、なんて言ってけんかするんだろう?」

「ずっと友達が欲しかった。わたしは友達を知らなかったから」


――みくり(共通)

みくりの周りには大人はたくさんいましたが、大人はいつも一緒にいてくれるわけではなく、大人が働いている時間はずっと一人でした。

ーーこれが意味しているのは、心のそばにいてくれる人はいないから、みくりは心の孤独を感じていたということです。

それは世界にはずっと自分一人しかいないような孤独な気持ちであり、そんな心や自分の世界での孤独を表したのが「心の孤独」です

みくりの心は、ずっと一人でした。

だから嬉しい気持ちや楽しい気持ちを知らず、一緒に想いを共有することもできていませんでした。みくりにとっての当たり前は、当たり前と言うには遠すぎたのです。


友達を知らず、一緒にいることで嬉しくて楽しくなれる気持ちを知らなかったから、だからずっとそんな気持ちを知ることが“夢”でした。

「みくりの里って山奥なんだよね。故郷から離れて寂しくない?」
「全然!」

「――ていうのは嘘。ちょっと寂しい。ここには父様も母様もいないし、神様も違うから」
「だけど帰りたいって思ったことはないよ。ここには柚希くんや千絵莉ちゃん、苺華ちゃん、ナナちゃんがいるから」

「柚希くんは?柚希くんも1人でここに来たんでしょ?」
「確かに、僕も少し寂しい。でもみくりと一緒だと寂しくなくなるよ」
「そっか~、柚希くんも同じなんだ!」

みくりの笑顔を見ていると、寂しさとか、不安とか、いつの間にか忘れてしまう。
この町で出会えたのがみくりで良かったと、また思った。


――みくり、柚希(共通)

こうして見返してみると分かると思いますが、みくりは本当は寂しがり屋な性格です。両親や生まれ故郷を離れることの寂しさも裏で感じていたことからも、本当は寂しがり屋であることを示しています。

しかしそうした楽しい気持ちを知りたいと思っていたのは、そこで心の孤独もまた感じていて寂しかったからです。
みくりの心の孤独は、「心から通じ合える相手」がいてくれることで初めて満たされたのです。

一緒だと寂しさを忘れると主人公が言っているように、みくりが寂しさを感じていて、そして心を通わせられる相手と一緒だと寂しさを忘れてしまうこともまた一緒でした。みくりにとって「ファンタジー」だと思えたことは、みんなと一緒に出会えて、一緒の時間を過ごせたことでした

それがみくりにとっての特別であり、そして“夢”だったのです。

「柚希くん分を補充してるの。だって寂しかったんだもん」

「寂しいものは寂しいのっ」


――みくり(みくり√)

みくりは一見とても元気に見えるヒロインですが、本当はその気持ちと同じくらい寂しい想いもしていました。

だからこそ、そんな寂しさを楽しさに変えてくれた外の世界に、一緒にいることの楽しさ(=ファンタジー)を感じていました。この隠された“寂しい想い”は、天宮みくりというヒロインを読むために重要だと私は思っています。

そして寂しさの他に、世界にファンタジーを感じるみくりのもう一つの想いがあります。









存在を認められない怖さ


「ホントはね……夕渚町に来るまでは、人間のことがちょっと怖かったんだ」

「だけどね、最初に会った人間が柚希くんだったから、全然怖くなかったんだ」

「みんながみんな柚希くんみたいじゃないと思うけど、獣人だからって怖がったり、気味悪がったりしない人もいた
「それだけじゃなくて、里から出てきたばかりで何も知らないわたしに、たくさん優しくしてくれた」

「だからありがとう、柚希くん!」


――みくり、柚希(みくり√)

みくりが抱えてきた気持ちは一緒にいてもらえない寂しさだけではなく、一緒にいることへの怖さもありました。
心と寄り添うというのは、寂しさをなくしてくれたり知らなかった感情を知ることができるだけではなく、心を受け入れてもらえない痛みもまたあるからです。

世界にはたくさんの想いがあり、だから世界とはたくさんの想いできています。

誰かと一緒にいるためには、自分の存在を他の人に認めてもらう必要があります。しかしみくりは自身の全てを受け入れてくれるほど、外の世界には優しい想いが満ちているとは思っていませんでした。

みくりは一緒にいられない寂しさだけではなく、世界から存在を認められなくて、誰かと一緒にいられなくなることも怖かったのです


そんな一緒にいられない寂しさ、一緒にいることへの怖い気持ちを忘れさせてくれた気持ちが、自分の存在の全てを受け入れてくれた“優しさ”でした。

世界はたくさんの想いであり、そんな世界があるから、世界に触れられないただ一人のような心の孤独もまた感じてしまうのでしょう。しかし世界の想いはたくさんであり、そんな世界に触れることの怖さだってあります。
一緒にいるというのは痛みであり、ですが孤独は寂しいから一緒にいたいと思ってしまいます。世界とは気持ちがすれ違ったり、存在を受け入れてくれないように決して優しくはなく残酷です。それは世界があり、そして世界に想いや心があるということの一種の呪いです。だからこそ、世界に存在した優しさには救われるのでしょう。

自分の全てを受け入れてくれる優しさも知らなかったから、外の世界に存在した優しさに触れたことも、みくりが一緒にいることの楽しさを世界に感じたもう一つの理由です

ちぐはぐなやり取りをお互いに笑い合う。
みくりと一緒だと、こんな時間も楽しい。


――柚希、みくり(共通)

みくりにとってファンタジーとは、誰かと一緒にいられること、心から一緒に楽しい時間を過ごせることで、そんな寂しさを感じさせない世界があったことは“楽しい”と思えるには充分でした。

みくりは寂しさや怖さといった想いがあったからこそ、一緒にいられるこの時間と、誰かの優しさに触れられる“今”の時間が楽しいと感じていました。


しかし人の心が変化していくものであるように、一緒にいられる“今”の楽しい時間はいつまでも続くとは限りません。









今と未来


「私、考えてなかった。私たちのこと、未来のこと……柚希くんと一緒にいるってどういうことか」
「みくりは僕と別れたいの?」

「ううん……そんなわけない……ないけど」
「でも私、生まれた里でずっと暮らして、里で死ぬんだと思ってた」
「外を見たくて、外のことを知りたかったけど、外で生きていく気なんてなかった」
「だから、どうすればいいのかわかんないよ……」


――みくり、柚希(みくり√)

外の世界に触れ、多くの経験をすることのできた、一緒にいられる“今”の時間は楽しい時間でした。
しかしみくりにとって世界とは、その心は里に縛られた本質的に閉ざされた世界でした。
その生とそしてその死の全てに自らの意志は存在せず、生まれた場所の世界に心まで縛りつけられ、そこで生きていくことしか知らなかったから、自分の世界が閉ざされていました。

みくりは生きることも死ぬことさえも縛られたものであり、そんな縛りつけられた人生が一緒にいたいという気持ちさえ閉ざしてしまうのです。

心と世界が閉ざされているから、外で出会えた人たちと一緒にいることがどれだけ楽しかったとしても、みくりには外の世界で生きるという選択そのものが心にありませんでした。

しかし外の世界で一緒にいられる楽しさを知っていくうちに、みくりはずっと一緒にいたいと思う、たった1つの“特別”を知ってしまいました。
だからみくりは、一緒にいる“今”の楽しい時間だけではなく、“未来”にまで一緒にいられる時間が続くことを願うようになります。

今と未来。外での特別な世界と、縛られたみくり自身の心と。みくりの2つの心がここで揺らいでいました。


「神様が教えてくれないと、わたし、なにもわかんないよ……」

みくりにとって未来は決まっているものだった。
それがみくりの当たり前。

だからその導を失くした今、目に涙を溜めてうつむいている。


――みくり、柚希(みくり√)

みくりにとっての当たり前――――自分の世界とは閉ざされているものであり、“決まっている”ものでした。
ファンタジーとは経験であり、ファンタジーと共に在るとはこの世界を歩むということです。だから当たり前が崩れたときに心が行き場所を失くし、この世界で一歩を歩むことができなくなってしまっていました。

生き死にさえ自分の意志を持たないみくりには、一緒にいたいこれからを想う心は必要ではありませんでした。それよりもみくりが世界を歩むために必要だったのは、自分の人生を決め、縛ってくれる閉ざされた世界だったのです

楽しいだけだった今の時間に対して、世界が閉ざされたままではこの楽しい時間は続かないことを知り、初めて感じたその心の苦しさが、ここで見せたみくりの涙の意味です。

「わたしたち、別れないといけないかもしれないから......会うと別れる時つらくなるから


「できるならそうしたいよ。でも、どうすればいいかわかんないから、わたし……」
「うん。どうすればいいのか、僕にもわからない。だったら2人で考えようよ、僕とみくりの2人で」
「わかんないのって怖いよ……」

「迷っても、立ち止まることがあっても、僕は必ずみくりと一緒にいる。だって僕はみくりの恋人だから」

もっと触れ合いたくて、言葉にならない何かを伝えたくて、半ば無意識にみくりの肩を抱く。

これ以上は言葉じゃ伝わらないと思ったから。
僕がそばにいるって、もっとわかってほしいと思ったから。


――みくり、柚希(みくり√)

先のことがわからないのはつらいことです。外の世界を知るまでは、閉ざされた世界の幸せしか知らず、先の決められた幸せが全てでした。しかし今のこの時間の楽しさを知ったから、そのあたたかさを保証してくれない未来がつらくて怖かったのです

ですが誰かと一緒にいることの意味は、ただ楽しい時間を共有するだけではなく、悩みや苦しさといった心の痛みも一緒に共有し、そして一緒に考えていけることでもあります。それがみくりの知らなかった、誰かと一緒にいるもう一つの意味です。
一緒にいたいという想いは言葉にならないと言われていますが、それは誰かを想う気持ちーー心の痛みさえ分かち合えるその気持ちは、言葉にならないくらいのたくさんの想いであったからでした。

どんなに心が行き場を失くしたとしても、一緒なら答えを見つけられるかもしれないから。こうした一緒にいるための“答え”と“その意味”をこれから考えていけるようになるのが、ここでのみくりの成長への最初の一歩です


世界とは楽しさがあるのと同じくらい苦しくて、だからどこまでも残酷です。そんな世界でこれからも歩みを続けていくために、未来を生きていくためにみくりに必要なものは何か?というのがここからの大きな問いです。

そんな世界で一緒でいるために、“ファンタジー”を感じて共に幸せを歩んでために、みくり達が一緒になって出した答えは、「願う」ことと、「想いを伝える」こと、さらに「選ぶ」ことの3つです。









一緒にいたいと願うこと

「もしそれがわかったら......外に出る目的を果たしたら、みくりはどうするの?」
「多分、里に帰るんじゃないかな。父様や母様、それに里のみんなも待ってるから。帰らなかったら寂しがると思うよ」
「......そうなんだ」

聞かなければ良かったと少し後悔した。
みくりが帰ってしまうなんて、たとえ先のことでも想像したくなかったから。

「柚希くんはどうするの?柚希くんだって、元々住んでた場所があるんでしょ」
「僕は......どうするんだろう?」

「今の学校を卒業するまでは夕渚町にいると思うけど、その先のことはわからないね
「このままここにいるかもしれないし、帰るかもしれないし、もしかしたらどちらでもない他の場所にいくかも」

「そっか~……柚希くんでもわかんないんだ~」
「でも、ずっと一緒にいられたらいいね!

親と子でさえいつかは別れるもの。誰であれ、ずっと一緒にいることは難しいことだ。
だけどそれを願うのは、決して無駄ではないと思う。


――みくり、柚希(みくり√)

みくりにとって先のわからないことが怖いというのは、一緒にいられるかわからないから怖いということでした。最初はいつまでも一緒にいられるか分からない運命を受け入れていましたが、一緒にいる楽しさが今だけではなく、未来に続いて欲しいとへと思うようになっていきました

そして一緒にいたいから、そんな何よりも一緒にいたいという気持ちだけをずっと願い続けるようになりました。

「やっぱりわたし、柚希くんと一緒がいい」
「けど、それ以外のことはわかんないや」

「里に帰るのも、外で暮らすのも、まだよく考えらんない。もちろん、里のみんなとは別れたくないけど」

「じゃあこれから考えよう。一緒ならきっと何とかなるよ」
「うんっ!柚希くんが一緒なら百人力だよ!」


――みくり、柚希(みくり√)

一緒にいることは難しいですが、一緒にいられないというわけではないからこそ、一緒にいたいという未来を願うことに価値があるのかもしれません。

一緒にいたいと願うことが決して無駄な想いではないのは、たとえそれ以外のことが何もわからなくても、何よりも一緒にいたいという気持ちが、みくりにとっての新たな導となってくれたからです
一緒にいたいという願いがあるからこそ、一緒にいられるこれからを考えていけるようになりました。

願う想いは、自分の世界ーー心を変えてくれます。

ただ一緒にいたい、というたった1つの想いを信じて願い続けることが、一緒にいたいという気持ちを叶えるために大切なことでした。









伝えたい気持ち

うまく言葉が出てこない。
嬉しいんだと思うけど、今まで感じた嬉しいとは違う気がして、この気持ちを表せない。

だけど、ここまで言われたら、拙くてもちゃんと僕なりに答えないと。


――柚希(みくり√)

(みくりと一緒にいたい。みくりとクリスマスを……)
(だから言わないと……)

ビシッと言わなくていい。ゆるくていい。


――柚希、みくり(みくり√)

ファンタジーや神秘が言葉にならないものであったように、言葉にならない想いとはとても大事なことであることが示されていました。
しかし言葉にならないだけが大事ではなく、ここでは想いを言葉にする大切さが言われています。

恥ずかしい。照れる。
そんな簡単なことを言えただけで、距離が縮まった気がした。

――柚希、みくり(みくり√)

「ううん。わたしも嫌じゃなかった。ドキドキして、ちょっとだけ苦しかったけど、嫌じゃなかったよ」
「良かった。ならきっと、僕たちお互いに嫌いじゃないんだよ」
「そっか……嫌いじゃないんだ。柚希くん、私のこと嫌いじゃないんだ」

今さらのような気がするけど、それが確認できただけでもほっとする。


――みくり、柚希(みくり√)

どんなに言葉にならなくても、誰かにわかってほしい想いがあるから、みくりたちは想いを言葉にし続けます。そうすることでお互いに距離を縮めたり、本当の気持ちを確かめ合うことができでいます

想いをのせた言葉は、一緒にいたい誰かとの気持ちをつなげてくれます。

「じゃあ、わたしと同じなんだね」

「わたしもね、恋してるのかまだわからないんだ」

みくりは里から出てきた獣人で、神様の声が聞こえる巫女さんの女の子。
片や僕は普通の人間だから、共通点が本当に少なくて、見つかるとちょっと嬉しい。


――みくり、柚希(みくり√)

想いや気持ちを言葉にして伝え続けるのは、違う世界を見て、そして生きているそれぞれの人が、同じものと同じ世界を見つけるためにあります

それぞれの世界が違ったとしても、それが一緒の想いを共有できないということではないのでしょう。世界が違うとしても、同じ世界を見つけようとし、一緒にいたいと願うから、みくりたちは言葉を重ね続けようとしていました。

一緒にいたいという願いは言葉を交わすことで初めて、心から通じ合っていられる確かな距離ができました。









自分で何かを選ぶということ


「それは、自分のことは自分で決めなさいって、神様が言ってるんじゃないかな」
「え……?」

「……確かに、これから僕たちが別れることもあるかもしれない。ずっと一緒にいられないかもしれない」
「……」

僕が半ば同意すると、みくりは悔しそうに唇を噛んだ。


「でもね、みくり」
「そんなの、何も決まってないんだよ」
「決まってない……?」
「うん。何も、なーんにも決まってない」

「みくりは里を選ぶことも、僕を選ぶことも、そしてどちらも選ばないことだってできるんだ」
「そ、それってアリなの……?」
「もちろんアリだよ。みくりの未来は決まってないんだから

みくりの瞳がますます不安に揺れる。
里か僕かの二択だったはずなのに、その拠り所さえ奪われて表情が困惑に染まった。


――みくり、柚希(みくり√)

今まで生まれた場所で生きていく以外の生き方を知らず、そして考えられないから、心と世界は閉ざされていました。
しかし閉ざされた世界で過ごしていたことで知らなかったのは、未来は何も決まっていないように、世界も幸せも完全に閉ざされてはいないことでした。

閉ざされた世界であっても未来は決められていないように、自分の世界が閉ざされたものではなく、なにものにも縛られない、開かれた世界であることがここで言われています。

世界が開かれているという事実は、今まで閉ざされた世界であったみくりには不安を感じるものでした。
しかし未来が何も決まっていないことは、この世界での価値や幸せを感じさせるものでもありました。

「自分が幸せになるために、大切な人を幸せにするために、みんなが可能性を模索してる」
「可能性が広がりすぎて困ってる人もいるけどね」
「わたしがそうなりそうだよ~っ。柚希くんがなにも決まってないっていうから、わたし、なにしていいかわかんないよ」

「難しいよね、ほんと。いろんな道や可能性があるから」
「でも、そんなの知らなければよかった、なんて言わせないように頑張るよ」


――柚希、みくり(みくり√)

未来がなにも決まっていないということは、同時に未来は可能性に溢れているということでもあります。

可能性が広がっていることが迷いを生みますが、その可能性の広がりが世界です。
世界にはたくさんの可能性があり、そのたくさんの可能性が人それぞれの世界の違いーー「ファンタジー」が生まれるのかもしれません。


外の世界の美しさを知り、誰かと一緒にいる楽しさを知り、世界に存在した人の優しさに触れて、初めての恋する相手だってできました。
そんなふうに世界にファンタジーを感じたことは、先が決められていても閉ざされた心には寂しさや孤独が浮き彫りにされ、未来を生きたいという希望を持ってしまうには充分だったはずです。
だからみくりの幸せとは、可能性で溢れた世界だったのではないでしょうか。


可能性が広がった世界を知ったことは、閉ざされた世界に対して世界の広さに不安を抱いてしまっていました。しかしみくりには世界が広がることはこのような不安だけだったかというと、そうではありませんでした。

その不安に反して可能性に広がった世界は確かに幸せであり、心から望んでいた幸せだったことがみくりの想いから分かります。

「でも、それでも……里のみんなを置いて出ていくなんてできないよ。それにわたし、里から出たら生きていけないし」
「どうして?」
「わたしバカだし、外のこと何も知らないし……」
「知らないことがあるなら、これから知ればいいだけ。僕だって何でも知っているわけじゃないんだから」

「セタリアの仕事だって、最初は喫茶店も知らなかったのに、今はちゃんとできるようになったでしょ?」
「……うん」
「みくりがセタリアでバイトを始めたのは神様に言われたからだっけ?」
「ううん、制服がかわいかったから……」
「うん、そうだよね」

「今だってみくりは、神様の声がなくても、自分でやりたいと思うことを選んで、自分の力で実現できるんだ。そうしてきたんだ」

「自分で、選ぶ......」


――みくり、柚希(みくり√)

茶店で働くことを選んだのも、外の世界に行こうと思ったのも、全て「自分の意志」で選んだことだったように、みくりの“選ぶ意志と力”もまた、楽しさを感じていたいという気持ちと共に一緒に最初からありました。

何も知らず、何を選んでいいかわからない今の状態は、先の分からないことへの不安を生んでしまうのかもしれません。しかし、そんなみくりにも選んだものがありました。何も知らなくても、不安があったとしても、選ぶことの先にある楽しさや幸せを求めてしまうのは、「ファンタジー」や「自分の世界」とは人それぞれだから、それぞれの幸せもそうした自分の意志で選ぶことの先にあるかもしれないから。


そして知らないということは可能性は閉ざされているということではなく、知らないことを知っていくという形で可能性は常に開かれています。


“開かれた世界”とは、

一緒にいられるという「願い」

その願いを伝えるための「想いをのせた言葉」

そんな想いのままに生きられる「可能性」

たくさんの「願い」「想いと言葉」「可能性」に満ちた世界のことを言うのです。


外の世界を知ってみたいと思ったように、みくりの世界は閉ざされたものではなく、本当は知らないことを知っていける開かれた世界を心では望んでいました

本質は閉ざされた世界であったみくりが、開いた世界へと変えていくためにどうすればいいのかというと、まず可能性が開かれたものであることに目を向けたことでした。

「もしかしたら……ううん、きっと柚希くんが言ってたように、自分のことは自分で決めなさいってことだったんだよ」

みくりの未来を探すのはまだ道半ばで、コーヒーを淹れたりケーキを作ったり、ちょっとずつ模索しているところだ。
でも、里に帰らないといけないと言っていたみくりが、他の可能性に目を向けられたことが大きな一歩なんだと思う。


――みくり、柚希(みくり√)

色々なことを経験して、知っていくこと。自分のことを模索して、他の可能性に目を向けられるようになること。そんなふうに広い世界のことがわからなくても、そして分からないからこそ知ろうとすることが、みくりにとって自分の世界を広げていく確かな一歩でした

楽しい時間をこれからも未来へと続けていきたいと願っていたから、自分の可能性と世界もまたこうして広がっていくものとなりました。

可能性に目を向けられたみくりはどう変わっていったのかというと、自分らしく変わっていくことができていました。その自分らしさは、日常の経験(=ファンタジー)が作り上げてくれたものでした

「人生って、ちょっとコーヒーみたいだね」
「コーヒー?」

「うん。いろんな豆の種類があって、豆のロースト具合とか、挽き方とか、いろんな淹れ方があって、ミルクや砂糖を入れたり入れなかったり」
「マロッキーノみたいに、チョコを入れるのもあるもんね。どう飲んだらいいかなんて決まってないもん」

「だから、コーヒーみたいじゃない?」


――みくり、柚希(みくり√)

人生とはコーヒーのよう――――人生にはたくさんの可能性や選択があり、その経験の上に成り立ちます。自ら喫茶店で働くことを選んだみくりは、そこでコーヒーの作り方を知り、自分の人生の選択と向き合う経験をしました。みくりにとっては人生の選択も、コーヒーの淹れ方もまた多種多様であることを知ったから、これはそんなみくり自身の経験から生まれた、彼女なりの言葉であったのでしょう

だからこの言葉はみくりなりの成長であり、みくりなりに自分の世界が広がったことを表しているのでしょう。それがみくりの人生を彩りのあるものにする“みくりらしさ”の証なのでしょうね。

みくりは一緒にいられる世界をファンタジーだと感じ、一緒にいることを願い、一緒にいたい気持ちを伝え続けて、一緒にいることを選んでいました。そうして世界が開かれたここでの言葉と自分らしさの証が、ここでのみくりの成長(=大きな一歩)でした









世界にたった一つの想い

それは、とある女の子が見た夢。
あるいは――
幾年先の未来の光景。


ーーーエピローグ



ずっと一人だったから一緒の楽しさを知らず、世界が閉ざされているから未来は選ぶものであることさえ知らず、みくりは外の世界に出て夢(=ファンタジー)を見ているみたいに思っていました。
それは外や世界がどれだけ広がっていても、自分の世界は閉ざされていて、その世界の差のために現実を現実だと感じられないから、夢を見ているようだと感じていたからでした。


しかしみくりが見た夢を選び取った未来になったように、夢とは見るだけのものではなく、叶えるものでもあるのかもしれません

みくりが外の世界に出て知ったのは、願い想いを伝えることで、可能性や未来を“選ぶ”ことの大切さでした。


ではみくりは一体何を選び取り、どんな夢を叶えたのでしょうか?

それを確認するために、外の世界で最も知りたがっていたことに注目してみたいと思います。

恋って何?そもそも恋人って何なの?」


――みくり(みくり√)

彼女はあるときから、「恋とは何か」ということを疑問に思うようになっていました。

ここで作中でみくりが問いかけていたことを振り返ると、「ファンタジーとは何か?」という問いと、そしてこの「恋とは何か?」という問い。大きく二つの問いかけがあったように思います。

ファンタジーについては、誰かと一緒に過ごす中で日常から見出されるありふれたものでした。そして「恋」もまた日常の中にあるファンタジーの一つとして表されます。このことから、みくりにとって“恋”もまたファンタジーだったのではないでしょうか。

しかしみくりの恋は単なるファンタジーの1つという位置付けではなく、もっと特別な意味を持っていました。日常で何に可能性や価値を見出すかということもまた人それぞれですが、そんな日常の世界でみくり自身が最も価値を見出したものが、この「恋」です。

ファンタジーに溢れた世界で、みくりにとって恋は最も価値のあるファンタジーとして見出していて、そしてその可能性を選んでいます。


そしてみくりが恋を知りたいと思ったのは、彼女なりの理由があります。

「うん!だって柚希くんともっと楽しいことしたいもんっ!」
「恋をすれば、もっと楽しいことできるんでしょ?恋人になったら、もっと仲良くなれるんだよね?」

「だから恋を教えて!」


――みくり(みくり√)

みくりが恋を知りたいと思ったのは、楽しい気持ちをもっと知りたかったからです。

みくりはかつて寂しい想いをしていて、楽しい気持ちを知りませんでした。だから楽しいという気持ちをもっと知りたいという想いから、恋とは何かを特に知りたく思っていたのでしょう。

この寂しさについて、友達が欲しかったとありましたが、それは「一緒にいられる相手が欲しかった」という本心があったように、一緒にいられることがみくりにとっての楽しさでありファンタジーでした。つまり楽しさを知りたい=一緒にいたいということになります。
だから恋を知りたいという想いには、こうした「一緒にいたいという気持ち」が背景にあります。

みくりが自らの意志で選んでいたものは、“恋”を知りたいという気持ちでした



照れくさそうに小さく笑うみくり。
その笑みには、恥ずかしさとか、嬉しさとか、いろんな感情が表れている気がした。

「今までよりドキドキしてる。ううん……こんなにドキドキしてるの、生まれて初めて」
「これが……恋なんだね」


――みくり(みくり√)

ではみくりが知った恋という気持ちが楽しいものであったかというと、(もちろん楽しい気持ちもありますが)そこで知った気持ちはそれだけではありませんでした。

恋で知った気持ちは楽しさの他に、恥ずかしさ、嬉しさ、その他にも言葉にならないたくさんの気持ちを知っていました。それは言葉にならない「ファンタジー」でしょう。それが天宮みくりの知った、「恋」という気持ちに対する答えです。

そして恋によって今まで知らなかった感情を知ったように、恋は彼女の世界を大きく変えました。
そんな恋に特別な価値を見出したからこそ、一緒にいたいという想いや一緒にいるための未来を願い、想いを伝えて、閉ざされた世界を変えてまで恋を選んでいました。

それはみくりが、恋もまた可能性であることを知ったからです。

天宮みくりとその世界を変えたのは「恋する」という気持ちでした


では恋は最も価値のある特別だから、その気持ちもまた夢のように遠く感じるものだったのでしょうか?
しかしみくりにとってはそうではありませんでした。

「それならわたしもおあいこだよ。わたしもきっと……ううん、絶対、前から柚希くんに恋してたんだから」
「……うん、そうだね」

僕たちは互いに恋しながら、わからないと言い張って、恋してないふりして抱き合ったりしてたんだ。


――みくり、柚希(みくり√)

みくりにとっては恋する気持ちが最も特別なものですが、その気持ちはみくりにとって知らなかった特別な気持ちというだけではなく、実はもっと前から持っていたありふれた気持ちでもあります。

恋とは色々な言葉に出来ない想いだったことからも特別なものですが、もう一つ恋とはただ一緒にいたいというささやかな想いでもありました。

みくりはかつて一緒にいることを知らなかったから、一緒にいたいという願いがありました。そんな誰かを恋しく想う気持ちをずっと抱えてきたように、みくりが特別な人と特別な時間を過ごしたいというささやかな想いも最初からあったものでした

知らなくても知っていた、分からなくても一緒にいたいと思ってしまっていた。たくさんの特別な気持ちを持ってしまうけれど、一緒にいたいというたった一つのありふれた願い。それがみくりにとっての特別であり、そんなありふれた気持ちの中にあった特別がみくりにとっての「恋すること」の気持ちでした

だからみくりにとっての夢(=恋)もまた、ありふれた特別であったのではないでしょうか。

「……やりたいこと、見つかったかも」
「ホントに?」
「うん、ぼんやりとだけど……」

そう言って、思い浮かんだ像を見返すようにまた視線が上を向く。
みくりの言う通り、まだはっきりとした形にはなってないんだろうけど、すぐに消えてしまう幻ではなさそうだ。

「それって僕にも手伝えること?」
「うん、多分……ううん、柚希くんがいてくれないとできないかも」




「わたしね、柚希くんが大好き。いろんなことを教えてくれて、優しくて……ううん、とにかく好き」

「柚希くんがいてくれたら、きっと何でもできる気がする。だから――」

「ずっと一緒にいようね!」


ーーみくり(みくり√)



恋とは楽しいから一緒にいたいという気持ちだけではなく、恋はこうして背中を押してくれる気持ちでもあることが、みくりが暗に示した“恋”に対するもう一つ答えでした。

(今が)寂しいから一緒にいたいと思っていたみくりにとって、(未来に)前へと進むために一緒にいたいと思えるようになったことが、みくりが恋から得られた大きな成長なのでしょう


日常のファンタジーがみくりに与えたのは、外の世界で一緒にいる楽しさを知ったこと、恋がみくりにとって大切なものとなったこと、そしてそうした中から得られた成長と自分らしさでした。

そうしたありふれた、でも特別な恋が、みくりの心や人生を確かに豊かで彩りのあるものにしてくれました。


そうしてみくりが見つけた夢が、こうして恋を叶えることともう一つ、外の世界で知った、みんなが優しさと一緒にいられる世界を叶えることでした。

そのための小さな世界、でも大きなファンタジーが溢れる世界が、あのエピローグの「しっぽカフェ」というありふれた特別の舞台でした




さて最後にこの作品ですが、漢字では「甘色ショコラータ」と書きます(あまいろショコラータ公式好評発売中ムービーより)。

そうすると、本編での次の一節が印象的だったのではないでしょうか。

「ところで、ナナちゃんと苺華ちゃんは恋って知ってる?」

ー中略ー

「そうだね......とっても甘いもの、かな」

「甘い?チョコレートみたいな?それともケーキみたいな感じ?」


ーーみくり、苺華、ナナ(みくり√)

この作品が書こうとしていたのは、に対する気持ちそのものです

みくりにとって恋とは、外の世界で見つけた大切なファンタジーであり、そして前に進ませてくれるものでした。みくりは「恋」によってこうして成長を果たしていました。


世界に一つだけ
きらめきSweets in Love!


ーーあまいろショコラータテーマソング「きらめき*Chocolaterie」


この恋は、世界にたった1つーー。


ーーこれは世界でたった一つの()を叶える、日常の中のファンタジーの物語。










・感想

考察記事はここまでになります。もしここまで読んでくださったのであれば、ありがとうございます。以下からは取り留めもない感想になります。

みくりちゃんは「友達が欲しかった」=「一緒にいる相手が欲しかった」から“恋”を知りたいと思った、特別だと思った、みたいなことがこの作品から私が感じたことでした。

“恋”は少し話が飛んでいると感じる人もいると思いますが、ずっと寂しかったから、一緒にいたいという気持ちがあったのは筋が通っているというのは何となく感じられるかなと思います。だからこそ、楽しい気持ちを知りたかったというのがみくりちゃんというヒロインなのでしょうね。

千絵莉ちゃんに「友達になりたいから」抱きついていたのも、そうした理由があったのは驚きましたね。まさかの伏線でした。

みくりちゃんがこの想いをずっと抱えていたと捉えると、一緒にいられることをファンタジーだと感じたことも、一緒にいられないことを悩んでいたのも全て辻褄があうようになっている構成は丁寧ですごいなって思いました。エンディング直前のセリフなんて「ずっと一緒にいようね!」でしたから。

でもやっぱり、みくりちゃんにとって“恋”が寂しさを無くしてくれる一番の大切なものだったって私は感じています。
他の誰でもない主人公がいたからこそ、存在を認めてくれた優しさを知って寂しくなかったのですし、最初から恋してたということからも、一緒にいたい気持ちと恋する気持ちは一緒にあったのかもしれないと思っています。みくりちゃんが悩んでいたのも、恋した人と一緒にいられるかということでした。
みくりちゃんはその気持ちが恋だとは知らなかったからはっきりとは分からないのですが、最初からあった気持ちである“恋”はみくりちゃんを変えてくれたものだったと思います。

恋とは、寂しさを忘れたいからみくりちゃんは知りたかったのですが、それだけではなく、恋は前に進ませてくれるたお話だったかなと思います。


ここからは気になった点などを書いておきます。



「体験版との感想」

この作品で面白いなと感じたところはは、ファンタジーとは非日常ではなく、こうした「日常」の中から見出される、ありふれたものであるという価値観ですね。この部分を一読したときに、この作品がどんな日常を見せ、それをファンタジーとしてどのように捉えるのか、それが本当に楽しみでした。
しかし当初の結論の予想としては、OPテーマの歌詞が示すように、たった一つのファンタジーを見つけ、それが「恋」である、という考え自体は最初からありました。あの曲では“世界に一つだけ(の恋)”という歌詞がやはり特別印象に残りましたね。そしてその形が変わることはありませんでしたので、ここまでは想定内の内容でした。

ですがみくりちゃんが世界から見つけたファンタジー「恋する」ということだけではなく、「夢を叶える」という2つが提示されたこと、その2つのテーマが重なり合って1つの物語となっていたことは、これは本当に予想外でした。ただの萌え系作品であればきっと恋愛だけを書くと思っていたので、まさかここまでの内容とメッセージをもう1つ用意されていたことに驚きました。
これに関しては体験版からは予測すらできなかったことなのですが、体験版部分では外の世界で何をしたいのか全く分からなかったみくりちゃんがこうして夢を見つけるのは、みくりちゃんの成長を感じさせる素敵な内容でしたね。

そしてもう1つ予想外だったのは、みくりちゃんが世界をファンタジーだと想うのは、世界は楽しいことで満ちていると考えるみくりちゃんの独特の価値観から生み出されているということを書こうかと考えていたのですが、実際のみくりちゃんの人物像はそんな単純な子ではなく、いろいろなことに悩み、寂しい想いもしていた子であって、だからこそ世界が特別に見えていたというのは体験版から予想したみくりちゃんの像とは真逆であり、当初想定していた内容を大きく崩されることになりました。とても素晴らしかったです。良い意味で期待を裏切られました。

ただそれでも、“恋”がみくりちゃんにとって特別なものなんだろうなっていうのは体験版の時点でも、こうして製品版をプレイしていても変わらずに感じていて、そして期待していました。

その“恋”が、一緒にいたい気持ち、寂しかった気持ち、夢を叶えたい気持ち、みくりちゃんの気持ち全てに大切だったと思いますから、やっぱりそれが一番心に残りました。



「世界の構造」

“世界とはたくさんの想いである”というようなことを考察本編では書いたのですが、そのことについては本作はかなり掘り下げていたように感じています。

獣人と人間の対立・衝突・嫌悪などの感情があったように、世界には人がいて、その感情が世界のように思います。だから世界は決して優しくないとは、こういった避けられない衝突や争いということになります。

獣人と人間というと架空の設定なのであまり実感がありませんが、「違い」だと捉えると、私たちの世界にもなる当てはまるように思います。
世界にはたくさんの人がいて、同じ人間であっても、国、思想、性別など、そういった違いが対立や衝突の原因は無数にあり、だからそうしたことが生まれることは避けられません。これが世界です。

あまいろショコラータはこのような世界の残酷さや苦しさを何度も叫んでいたように思います。世界は残酷みたいなことを書きましたけれど、ここが根拠となった1つではあります。だから世界はこういった背景を私は考えさせられました。

夕渚町の舞台を作った人物は獣人という設定がありましたが、その人物は異なる文化を持ち込んだものの、それは獣人であるということから何度も住んでた町を去らなければならなかった結果から生まれたものでした。
そしてみくりちゃんの母。人間の友人がいましたが、みくりちゃんが言っていたように正体を知られた時は怖がられたり、気味悪がられたのかもしれません。

獣人と人間ーー自分と相手の「違い」は、こうした悲しい出来事をたくさん生んでしまうのかもしれません。
だからこそ、そんな違いがあっても仲良く過ごせる場所、世界。違いがあるからこそ仲良くしていける方法を考えたみくりちゃんだからこそできたことのように思いました。

みくりちゃんが叶えようとした夢はそうした悲しい出来事を乗り越えた先にあったもので、それは一緒にいられるという意味でも、おとぎ話のようなみんなが仲良くできる世界という意味でも、二重の意味で『ファンタジー』なんだなって思いました。

こうした背景設定とみくりちゃんの夢が対比になっていて、伏線だったんだなってプレイして思いました。物語としても丁寧な作りであるとは思いました。

マイ・フェイバリット・ケモミミADV!って感じでけもみみは飾りだと思っていたのですが、けもみみの設定って飾りじゃなかったんですね。本作では意外と深く扱われたので驚きました。
そういえばみくりちゃんの神様という設定も飾りというよりは、みくりちゃんの当たり前や世界が決められたものであるという心情につながっていましたからね。



「ファンタジーというテーマ」

あまりうまく伝えられた自信がないので、改めて本作で私が感じたテーマを書いてみようかなと思います。

『ファンタジー』とは世界との違いを見出すことと作中では言われていましたが、みくりちゃんがファンタジーにときめいているような雰囲気を感じましたので、世界の違いを見出し、“さらに”その世界の違いにドキドキすることというより限定した感じで私は解釈しています。

これを言葉にすると、私はファンタジー=世界の価値ということなんじゃないかなって思いました。
ただみくりちゃんの場合はその価値が“一緒にいること”や“恋”だったってだけであって。

ファンタジーと言われてもなかなか難しいとは思うのですが、別に恋に限らなくても、例えばブラートブルストを美味しく食べること、千絵莉ちゃんがかわいいからぎゅ〜ってしちゃうこと、かわいい制服を来てくるりと回りながら自慢すること、そもそもこうしてノベルゲームを楽しむことですとか、人の幸せや世界の価値はそれぞれ違うと思うんですよね。

でも本作の考え方に合わせるのなら、私たちは同じこの世界で生きている以上、人それぞれだったとしても、私たちはみんなファンタジー(=世界の価値)と共にある、という感じになるのではないのかなと思います。

だからこの作品のテーマの一つはみくりちゃんのファンタジーとは何かということだったのですけれど、それともう一つ、「ファンタジー(=私たちなりの世界の価値)に対してどう向き合うか?」というテーマは私たちにも当てはまるのではないかなと思いました。

本作が示した答えは、まずは誰かと一緒に考えることで、そこから願い続けること、想いを言葉にして伝えること、広い可能性を知って選ぶことでしたけれど、やっぱりどれもいざ実践しようと思うとなかなか難しいことなのではないかなと思います。

だからこそ、その答えから目を背けずに向き合おうとしたみくりちゃんの姿ですとか、夢を叶えられることを描いたことを通して、私たちはファンタジーと共にいられる、幸せでいられることを感じられたこの物語は価値があったと思うんですよね。

でもみくりちゃんは恋することで変わっていけたように、恋とは人を変える力があると思っていて、なのでみなさんもみくりちゃんを通して、“恋”もまた価値だと思ってもらえたらいいなとは思います。



「恋とファンタジー

個人的にはそういった世界の捉え方を考えるよりも、このみくりちゃんが告白する場面が一番好きな場面でした。ここのセリフが本当にロマンチックでとてもドキドキさせられましたね。普段はまっすぐで元気に見えるけれど、本当はいろいろな悩みを持っていて、そんなみくりちゃんが恋に対してこうして不安になりながらも、

「わたし、恋人になれますか……?」と控えめに、でも勇気を出して聞くみくりちゃんに、ここで泣かされてしまいました。ここでのみくりちゃんは、本当にかわいかったですね。
これだけでも手に取って見た価値があると思うくらい、このみくりちゃんの言葉はわたしには刺さるロマンチックな場面でした。ドキドキが止まらなかったです。

ここでみくりちゃんが、恋に価値を見出していた証拠になるのではないかと思います。だからこそみくりちゃんはここで恋と夢にこんなに一生懸命で、そして自分の想いとここまで真剣にに向き合っていたのでしょう。そんなみくりちゃんはとっても魅力的でした。

本作あまいろショコラータが私にとって特に一番心に残ったところは、日常はこうしたファンタジーで溢れているけれど、その中でたった一つ「恋」に特別な価値を見出したことでしょう
世界が人それぞれであるように、人が見出す価値も人それぞれだと思うのですが、みくりちゃん自身が見つけた価値あるものだからこそのみくりちゃんらしさを感じさせる答えだと思いました。

本作にはたくさんのメッセージがありましたが、その数々のメッセージを通して、みくりちゃんにとっての「世界で最も価値あるものは何か?」ということについてこの作品なりの答えを出せたのはすごいと思いました。

そのみくりちゃんだけの、世界にたった一つの想いである“恋”を大切にした本作品が私は大好きでした。




「恋は特異的、だけど恋は普遍的」

みくりちゃんの恋はありふれたモノであったことを書いたのですが、実は体験版の部分で既に、みくりちゃんが主人公に対して好意を向けていた部分もあるのですよね。ここがみくりちゃんが最初から恋していたという事実の強力な裏付けになっていたことがすごいなって思いました。

恋はとてもすっごいけど、難しいことじゃないんだよ!ってことなのでしょうか、と思いました。



「みくりともう一つの成長」

ケーキを作るみくりちゃんがあったのですが、知らないことを怖がっていた彼女がこうして、知らないことにチャレンジしようとするところが、彼女の成長を感じましたね。ここもまたみくりちゃんの魅力が増した場面でした。
凄く好きな場面でしたので、ケーキを作るのが上手になって、それを主人公にほめられて、照れながらも喜ぶ、そんなみくりちゃんも見たかったかなあ。

この直前の場面でみくりちゃんがケーキを作りたいと言った理由は「自分でケーキ作れば食べ放題だからじゃない?」とナナに聞かれた時に、みくりちゃんがそんなことは考えてもみなかったというようなことを言っていましたが、そのようにみくりちゃんの思考にそれは存在していませんでした。

さて、みくりちゃんが喫茶店に居ようと思った理由は、考察本編で示したことを簡潔に言うと、「自分のため」でした。みくりちゃんは外の世界を知らなかったからこそ、まずは自分が楽しいと思えることに興味を持ったのではないかと思います。

「なら、好きなものを仕事にした方がいいんじゃないかと思って」
「お〜、なるほど〜!柚希くんあったまいい〜!」

みくりのソーセージ屋さん......想像してみると、自分のお店の商品を食べちゃわないか心配かも。


ーーみくり、柚希(みくりの初デート)

話を戻しますが、最初みくりちゃんと、ここでのみくりちゃんは対比しているように思います。つまるところ彼女にとってケーキを作ることは、「自分のため」ではなくて、いつの間にか「誰かに喜んでもらうため」に変わっていることを暗に示しているのかなと感じました。「ケーキ食べ放題=自分のため」と考えると、みくりちゃんには自分のことよりも大切なものができたから、そんなことを考えずともケーキ作りに挑戦したいという意志を持ったのではないかと感じましたので。

何気ない場面ではありますが、ここが彼女の意志としての「成長」を特に強く感じられましたね。だからこそその先も見てみたくなったわけで。そんなみくりちゃんは、とても魅力的なヒロインだと思いました。

「こういうのって、ロマンがあると思わない?」「ケーキ作りは将来何するかわからないから、とりあえずやってみたい!」「人生って、コーヒーみたいじゃない?」
こうしたみくりの言葉一つ一つに、彼女らしい信念や意志を感じましたし、これがみくりちゃんの魅力なのかなと思いました。


あと好きだったのは初めてのケーキをフォークで「つんつん」ってするところや、いちゃいちゃするときにしっぽで「こちょこちょ〜」としているところ、みくりちゃんのいたずら好きで好奇心いっぱいのキャラが立っていて、そこもとってもかわいかったです。

それとですが、けもみみ+サンタ衣装の組み合わせでしょうか。アメイジンググレイスのキリエちゃんのコスプレが大好きで、そして私ケモミミが大好きなので、この組み合わせを見られてうれしかったですね(実はそのCGを見て購入を決めちゃったくらいかわいくてお気に入りです)。


ーーーー


最後にちょこちょこっとした感想ですが、せっかくのかわいいしらたまさんのSDイラストが、あまり本編に登場しないのもちょっとだけ残念でした。せっかくかわいいSDイラストを作っているのですから、本編でも使った場面が見てみたかったなあ。これだけが残念というか未練なのですが、ここまで思ってしまうのは、それだけ天宮みくりというヒロインに惹かれたからだと思います。余韻がすっごい。本当に楽しい作品でした。

この作品はこうして見てきたらわかりますように、決してレベルが高いわけではなくありふれたメッセージなのですが、ありふれたものだからこそが伝わってくるものがある作品だったかなと思います。きっと作者さんもこうしたことを意識しているとは思うのですが、作品に込めたメッセージ、私には確かに伝わりました。素敵な作品をありがとうございました。私としては、これからもこんな感じで、キャラの魅力や萌えを引き立てながらも、こうして読み手にも何か得られるような作品にこれからも出会えると嬉しいです。

でもなんだかんだ言いましたけれど、そんな細かい理屈よりもみくりちゃんと千絵莉ちゃんがとにかくかわいかったです!この優しい世界がすきでした。

本作「あまいろショコラータ」は、わたしにとって一生思い出に残る作品となりました。製作者の皆さんには、こんな素敵な作品に出会わせてくださったことに感謝しています。もちろんみくりちゃんもとってもかわいかったです。そしてここまで読んでくださったのでしたら、本当にありがとうございます。


(追記)
同作品の「雪村千絵莉ルート」についても考察しました。天宮みくりルートや甘色ショコラータに込められたメッセージを違った形でより深く知ることができると思いますので、もしよければこちらもご一読いただけたらと思います。

あまいろショコラータ 千絵莉ルート考察_大人であるために必要なものとは何か?(10803字) - 白き永遠の世界